43.棺

僕ひとりが死んだところで といつかそう思った

それから一生経って そう思うことには何の意味もなかったのだと解った 


ひとり僕は 意味や価値に惑わされずに済む そんな場所にいた

そこがどういった所なのかを わざわざ考えなくていい そんな場所にいた


見渡すには ここは狭すぎた

身を捩るにしても 窮屈としか言い様がなかった


その内に四方は火で囲まれ 名も知らぬ花花を燃やした

それから瞬く間に 火は僕をも包み込んで―― 

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