34.名詞《なことば》

名は必要だろうかといつも思う


自己を証明しようとする時 何をもってとまず考える

何をもって我なのかと 何をもって私なのかと


与えられし名は一つ 我も私も同じ名を冠す

不平等な肉体に宿りし魂も一つ 我と私は共同生命体


名などなくとも 仮になくとも 生きてはいけよう


付けられた名に不満がある訳ではない だが・・・

名を付けられ不平を言うつもりはない しかし・・・


自己とは名に縛られぬものであると思うのだ

私我あっての名であると 私我とはそれ以外であると


焼き尽くされた死の中に 何が残るというのか


肉体が還る土はなし 魂が昇る空もなし

もはや世界はそれらがない場所にあると云う――


名は残るか 死によって消されはしまいか

目鼻口は消えた 声も消え 残ったのは何をもってのみ

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