31.常久の闇
掛ける言葉のない中で やはり何も言えずにいた
僕にとっての死がそういうものだと物語っているように思えた
なぜ人は死ぬのか 生き物は息絶えるのか
その答えは生きている内には分からないものだと悟るには充分だった
だのになぜかその事ばかり考えてしまうのだ
心の内で言葉が反芻されては 新たに思いが生み出され そしてまた言葉で包まれる
僕がその言葉を言わずにいると 見つめる先で炎が灯る
穏やかなそれは果てしなく また当然のように音もなく 燃焼し終えた
するとそこに久しく見なかった闇が顔を出し 僕に聞こえるようにこう言うのだった
「――私も死ぬのか?」と
それは誰の声でもなかった しかし誰かの声のようであった
判然とはしなかったが それはもう聞く事のできない声のように思えた
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