30.潰想

目を瞑りたいことには目を瞑って生きても

まだ考えてしまうから目を潰して痛みに悶えて生きる

じき痛みが引くなら更なる痛みをと心を引き裂いて

足元に散らばったそれを踏んでも前へと進む


目を瞑りたいことは考えたくないこと

想像もしたくないこと

忘れられたくないから生きる

忘れられたくないと思っても忘れられてしまうけど

仕方ないなんて思わないから考えないようにしても考える


何を思う?誰を想う?

瞑った目蓋の裏で 潰した目のその中で


たとえば身勝手で向こう見ずな思いを抱えて生きてみる?

いくら生きても死に取って代わられぬ身でいられますようにと

どれだけ前に進んでも後悔と出会わぬ人生でありますようにと


目を背けるだけでは答えは出ない

考えなくてはならないどうすべきなのかと

忘れられない為にすべきことはあるのかと


来たるべき時はいつか来る

もう考えることに意味がなくなった時

自然と湧き起こる感情は果して何だろう

その答えが仮に悲しみであるなら溢れるものは何もない

それでも生きなければ

忘れたくない人がいるのなら忘れてしまうまでは・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る