入れられなかった描写
本編最終話でおちびが洗面所に向かった後のリビングでのやり取り。
必死に涙を堪え様としているおちびが静かにドアを閉めた瞬間、アンジェリカが鋭く舌打ちする。
そのまま追いかける様にソファから腰を上げて歩みだそうとするアンジェリカだったが一本の腕が行く手を塞ぐ。
言葉に出さずアンジェリカの行動を制したマチルダは眼だけでやめておけ、とアンジェリカに伝えると今度は視線をカトリーナに向ける。おちびを傷付けた本人もまた傷付いた酷い顔をしていて、お互いに傷付き合って世話ないなとマチルダは呆れを含んだため息が出た。
未だ自分が塞いだ腕の前から退かないアンジェリカにも頭を悩ませていれば支度が終わり何故か目元を赤くしたキャサリンがやって来る。マチルダはそれに気付くと今度は盛大にため息を吐き出し、一つだけ忠告をすることにした。
「二人共、やってる事が逆効果だって分かってる?」
ちびちゃんはそんなに強くない、あたしだって知ってるんだから二人が知らないって事はないわよね? と続けて言えばキャサリンとカトリーナが目を見開く。今ようやく思い至りました、という表情を浮かべる二人にマチルダは呆れ過ぎてもうため息も出なかった。
「まあ、ちびちゃんを早く出ていかせたいなら効果的かしらね」
敢えて結論を述べればキャサリンは耐えているのか瞳を濡らすだけに留めたが、カトリーナの見開いた目から静かに涙が流れた。
マチルダは朝から前途多難だと思いながら軽く息を吐くと、もういいかと腕を下ろす。やっと行く手を阻んでいた物が無くなったのにアンジェリカは足を進めるようとはもうしない。
ただ真意を見極める様に眼を細めてマチルダを見詰めていた。
――――
三人称じゃなきゃ入れられなかったので悔しい。ついでにもしアンジェリカが後を追ってたらおちびは大泣きします。不器用な人が励ましたり慰めるとか高等技術できるはずがなかった。
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