第2話 恋のはじまり
それからの記憶は正直なところ鮮明には覚えていないのです。何せ初めて空を飛んだものですから。私は必死にしがみつくのが
「さぁ、ついたよ。」
思わず私は、「あ、今日は送ってくれてありがとう。」と、言いそうになりました。なぜって? ついたと言われ降ろされたのが他でもない私の家だからです。また彼から疑問のタネを脳内に植えつけられました。なぜ私の家?なんで知ってるの? そんな質問などする暇もなく彼はぴょんとまたまた
私を迷うことなく部屋へ連れて行き、ベッドにちょこんと座らせる彼。ここまで来ると私も、今まで浮かんできた数々の疑問たちは
「僕は明日、君のクラスに転校する。僕といられるのは出会った今日から夏休みが終わるまで。夏休みが終わったらお別れだよ。この夏にきっと、君は僕を好きになるだろう。」と。
「なんで私なの?」
聞きたいことは山ほどありましたが、とっさに口から飛び出したのはこの言葉でした。すると彼は当然じゃないかと言わんばかりにこういうのです。
「だって君、銀色の猫を見たろ?だから君になったんだ。」
思い出ししました。なんで忘れてしまっていたんでしょう。真っ先にあなたに伝えようとしていたのに。確かに私は銀色の猫を見ました。そうですね、話を少し戻しましょう。五限の英語、眠気に襲われるあたりです。
その時私は、ぼんやりと校庭を眺めていました。どこに
私が選ばれた理由は納得できずとも分かりました。では、目の前にいるこの男の子は一体誰なんでしょう。それを聞こうと彼の立っていたところを見ると、まるで今までのことが全て夢で、私はたった今ベッドから朝起きたかのように、そこに彼の姿はありませんでした。その後私が、部屋の隅から銀色の綺麗なヒゲを見つけるのは、この
「
見慣れた無機質な黒い板に整った形で書かれた二文字、これが彼の名前です。次の日、彼は本当に私のクラスにやってきました。親が転勤族で短い間しかいられないというような 内容を朝、担任が言っていたような気がしますが、私はそんなことなど気にも留めていませんでした。昨日のことが夢じゃなかった、この事実だけが私の中にぽつんとひとつ、あるだけでした。
まるで初めから決まっていたかのように、彼の席は私の隣、窓側から2番目の一番後ろの席に決まりました。私の脳内は、常に
「昨日は驚かせてごめん。これからよろしくね。」
それはついさっき見た、彼の字でした。はっとして彼の方へ首を回すと、幼い子供のような
彼から
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