途中まで書いていたものをすっぱり切り捨てるのは、相当な覚悟があったことと思います。それまでに費やした時間や労力がひとまずは無駄になってしまうわけですからね。
Twitterのほうで以前私が取り上げた、江國香織さんと片岡義男さんの対談の中での言葉ですが、
「小説自体は終わっているけど、中の人物は全然終わっていなくて、続きがある」、あるいは、
「最後にきっちりケリが付いてしまったり、オチみたいなものが用意されていたり、全部につじつまが合ったりしたら不自然だし、つまらない」
というのは私も大変共感するところです。
この小説におけるユータはあくまで読者にとってのカメラのような役割で、厨時代のプレイヤーの一人ということに過ぎない。だからこそ、ユータの目線ではこうなっているけど、たとえばナルミだったりリヒトマンだったり、違ったカメラを通して見たら全然違ったストーリーになるかもしれない。そういう意味でも、単純に完結できる話ではないのだろうなと思いました。
作者からの返信
サンダルウッドさん、コメントありがとうございます!
正直、この終わり方も相当な葛藤がありました。
ただ、自分の書きたいものを書くとなると、この終わり方が一番適切で一番綺麗だと思います。
何度も読みたくなる作品というのは、一つの作品にたくさんの人生や物語があり、読者が何歳になっても、いつまでも待ってくれる作品だと信じています。
僕は、「がばいばあちゃん」や、「博士の愛した数式」のような、いつまでもそこにあるような話を書きたいと思っています。
最初の話の流れで行くと、赤林檎の後継者選びの話で進むのが(面白いかどうかは別として)普通だったでしょう。
リドルをラスボスにするのは、小物だし端から無理があった。
しかし、バクにも十分小物感が。。。
作者からの返信
くま吉さん、コメントありがとうございます!
最後まで読破いただき、感謝の極みです!
バクは小物です。というか、鉄砲玉です。
終わり方を、俺たちの物語はこれからだ! にしたのも、書く対象を人間ではなく、厨時代そのものに変えたからです。
人の想いで造られた厨時代と、それを創った赤林檎という神の証明が、この物語の終着点と言えるでしょう。