絶対の詩
『観測の詩』
エゴサーチしては傷つくような世の中で、前を向く為の休息方法を知った。誰とも話さなくなって、手を振りあうこともなくなって。明日を嫌ってみたり、未来に賭けてみたり。落ちた場所には枯葉の海が広がり泳ぐまでもなくロープが垂らされる。遠くまで声が届く世界で、無言は減っていく。
『呼吸の詩』
根無し草すらはためく甘ったるい月夜に、ガムテープでラッピングした窓。差し込む光はなく、通るはずの空気も通行止め。隠れる場所が欲しかったんだ。だけど、この小さな部屋の中で生きるのは、困難だろう。空気を欲して窓の鍵を開ける。テープを剥がす。生ぬるい空気が雪崩込んできた。
『絶対の詩』
絶対的な価値なんて意味がない。雨に負けないように大きくなる声。伝えることを諦めた声。太陽が雲に覆われて、やっと気づく必要性。邪説。生き急いで、漸く自分の真ん中に響く。人間が綺麗汚いって思うのは脳のせいだよ。勝手に価値をつけてしまうんだ。何かや誰かを哀れむずっと前に。
『箱庭療法の詩』
何かに追われているような感覚。走る僕の息遣いと足音だけが響くアーケード街。閑散としている。メリーバッドエンド。歪んだ箱庭は使い物にならなくて、心を写すことをしなくなった。それでも辛い時は死にたい時は、一晩で何万回と来る。そんな時、思い切り縋れる何かを欲していた。
『サイレントの詩』
裏路地の片隅血の流れた跡。野垂れ死のう。もうなんにも痛まないの。今日も止まないサイレン。どこかで誰かが倒れていって。永遠の意味がわからない。野良猫みたいだ。悲しいニュースに圧し潰されずにどうにか進んでいる人よ。十秒、息を止めた。苦しい。そうして怠慢に生きてね。
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