流星群の詩

『流星群の詩』

空に果てを定義して只の大きな箱をつくる。宇宙は膨張するなんて科学者の違和感のある言動と、現在の科学の届く範囲。私達の世界は広いと定義したくないのはきっと正しいのだと思う為。疑ってばかりで誰と願おうなんて曖昧だから叶わないものだということを未だに知らない君は、言う。




『窓の詩』

外は多くの音で溢れかえっていて賑やかすぎるから、と閉ざしていたガラスをコツコツと叩く。あの日見た風に膨らんだカーテンは宛らスカートの様だった。高校生活を思い出す度に脳裏に浮かぶその映像は、此処から出られない私の心と冷静さをかき乱す。この窓は私にとって、重大な敵だった。




『海岸の詩』

さざ波が押し寄せ岩に打ち付けられるように、息をする度に何かがぶつかる。砂を飲まされたような呼吸。息絶えだえな街。水槽の中の熱帯魚。私は微睡みを繰り返し、睡眠が足りない。唾液は渇き、砂のようになっている。海藻が揺蕩うように、私の前で影をちらつかせる貴方。まだ手が届く。




『灯りの詩』

煌々と頬を照らすのは西に傾いた陽射しか、夕闇に浮かんだ電灯か。眩しくて目を背けた先にはコンクリートだけがある。透ける身体はもう血を流し切り光を嫌っていく。朱や紫に染まる空が眩しくて涙を一滴零したら、瞼を閉じて願うのだろう。貴方だけでも明日こそ美しく灯されるようにと。




『時計の詩』

近づく足音は秒針の如く。遠ざかる記憶は分針の如く。いつかは消えるかもしれない記憶は時針の如く。あーしたてんきになあれ、なんて子供の声が響き渡る公園。飛ばされた靴下の轢かれた道路。ノスタルジーなんてものは何処かへ追いやってしまいたいと耳を塞ぐ。肩を叩く人はもう居ない。

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