第10話 スタートライン
いとこは法律上は、結婚出来る。
でも、そういうケースは少ない。
香子ちゃんが、北海道に帰郷する日が近づいてきた。
数日前に、香子ちゃんの部屋で、お別れ会を開く事になった。
そういえば、俺が香子ちゃんの部屋に入るのは初めてだ。
「今日のために、練習しました」
香子ちゃんの手料理が、テーブルに並べられる。
鍋になるかと思ったが、さすがに早いか・・・
「香子ちゃんは、なぜ帰郷するの?せっかくお友達になれたのに・・・」
加奈ちゃんが、寂しそうに訊いている。
答えたくないと思ったのだが、香子ちゃんは即答した。
「結婚です」
「結婚?」
俺と加奈ちゃんは、同時に声をあげた。
女性は16歳になれば、結婚が出来る。
ということは、もう16歳になったのか?
「相手は?」
加奈ちゃんは興味津津だ。
女は、こういう話が好きだな。老いも若きも・・・
「いとこのお兄ちゃんです」
「いとこ?」
「ええ、いとこは法律上は結婚できます」
結婚となると、高校は退学するのか?
「高校は地元の学校に編入します」
「でも、なんで?結婚するの?」
俺は加奈ちゃんに耳打ちする。
「加奈ちゃん、それは訊かないのがエチケットだよ」
「・・・そだね・・・」
加奈ちゃんは、残念そうだ・・・
しばらくして、加奈ちゃんは寝てしまった。
「お兄ちゃん、いいですか?」
「何?」
「加奈ちゃんの事、女の子としてどう思います?」
「女の子として?」
難しい質問だ。
確かに、魅力的だと思う。
でも・・・
「加奈ちゃんは、お兄ちゃんの事が、ひとりの男の人として好きみたいです」
「なぜ、わかるの?」
「女の勘です」
「勘?」
「見くびらないで下さいね。女の子の勘を」
加奈ちゃんは待ってます。
香子ちゃんの言葉が、耳にひっかかった。
数日後、香子ちゃんは帰っていた。
飛行機嫌いなので、列車を乗り継いでいくらしい。
「お兄ちゃん、香子ちゃんと何話してたの?」
「特には・・・」
「嘘、聞えてたよ」
ということは、知っているのか?
「加奈ちゃんは待ってる」か・・・
加奈ちゃんは、2月生まれの早生まれで、まだ15歳。
結婚できない。
でも、結論は決まってる。
加奈ちゃんには、待っていてもらおう。
来年の16歳の誕生日まで・・・
この世界で 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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