第3話 スウィートガール・スノーホワイト

もじもじ……もじもじ……

アリスの家の前で、一国のお姫様らしき衣装を着た少女が何かに怯えているように震えている。

「ねぇ」

「ひゃっ!!がふっ!」

声をかけると、少女は驚いて飛び上がる。そしてそのままドアに後頭部をぶつけて倒れた。

「ちょっ、なんの音!?」

突然の大きな音に驚いたアリスが、バタンッと思い切りドアを開ける。

「…ってグリムじゃないの。入りたいなら勝手に入っていいのに」

アリスの視界にはまずグリムの姿が入る。 もちろん、すぐ下で倒れている少女のことなんて気づきもしなかった。

「いやアリス、僕じゃなくてこっち」

「ん?いやぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

アリスは言われるがままに下を見た瞬間、叫ぶ。が、その叫び声は徐々にトーンを下げていき

「ぁぁぁ、、、ってなんだ白雪ちゃんか」

と、突然表情を安心させた。

「こっちは私が何とかするから、グリムは中入ってて」

アリスは倒れている少女───白雪を引きずりながらグリムとともに家の中に入った。


「あ、あの……白雪っていいます」

さっきまで気絶していた少女は、初対面のグリムに軽く自己紹介。 体はもの凄い震えているけれど。

「えっと……」

「いやっ!!」

「…………」

会話にならない。

おそらくこの白雪はものすごく人見知りで人と話すことさえ恐怖を感じちゃう、まさにデリケートな少女なんだな

「あはは、まあ見てわかると思うけど白雪は凄い人見知りでね。私でさえまともに話すことできないのよ」

「そうなのか、なんか大変そうだな」

グリムがカタカタと震える白雪を見る。偶然目が合ってしまった白雪の震えは更に増し、やがて地震が起きたかのように大きくなっていった。

そして、自分が想像していた白雪と違うなと彼女を見ながら思うグリムであった。

「あの子さえ来てくれれば……」

何かを思い出したかのような表情でアリスがそう呟く

「あの子?」

「うん、唯一白雪ちゃんとまともに話せる子」

どうやらこんな超人見知りの女の子でもちゃんと話せる子はいるらしい。おそらく長い付き合いなのだろう。

「そう、シンデレ……」

そう言いかけると、突然思い切りドアが開いた

「私のことを呼んだかしら!!!」

「「………………」」

その瞬間、全員がドアの方を見ながら静まり返った。

何故か白雪の震えもピタっと止まった。

そして突然の来客者に思わず『誰!?』と言いたくなったグリムであった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る