第2話 困った少女とホットケーキ

おとぎの国。

お菓子の家が建っていたり、わたあめの花が咲いていたり、はたまたかぼちゃの車があったりと、、、

不思議な不思議な、まるで夢のような世界。

今日も平和なご様子で──────────────


「えぇ!?グレーテルが熱出してお菓子を作れない!?」

「そうなんだ、、、ごめんねアリス」

小さな小屋に住む少女───アリスが叫ぶ。どうやらお菓子作りが得意な少女───グレーテルが熱を出してしまって困っているみたい

「それなら、ヘンゼルが作ればいいんじゃないか?」

というグリムの発言は地雷だったようで、、、

「あのねグリム、僕レトルトカレーすら作れないんだ、、、」

「え、まじか。じゃあアリスが作れば、、、」

「めぇんどくさいもんっ!」

片方の少年が料理が全く出来なければ、もう片方の少女はかなりめんどくさがり屋の困った性格

お菓子を作るだけなのに、どうしてこんな事になってしまったのやら

「んー、それじゃあ」

と、グリムは突然アリスの家に入り込んで食器棚を弄り出す。

これと、、、後はこれと、、、 独り言を呟きながら、何かを作るのか準備を始める。

「グリム、もしかして作れるの??」

「グレーテルくらいに上手に、、、とはいかないけど、少しくらいは」

そう言ってグリムはホットケーキを作る。

随分と長く作っていなかったので、少しばかり調理法だけヘンゼルに教えて貰いながらだったが、それでもなんとか頑張って、甘くてふわふわのホットケーキが完成

「グレーテルよりとはいかないけど、ヘンゼルが作るよりはマシだと思うよ」

「酷いな!!喧嘩売ってんのか!」

そう言われてしまったヘンゼルは涙目で言い返すも、特に反撃の言葉はみつからないのであった

「あはは、ごめんごめん。んで、お味はどうだい?」

小笑いしながらヘンゼルに謝ると、すぐに切替えてホットケーキの味を聞く。

「美味しい!グリム料理できるんだ!!」

「凄いわ!こんどグレーテルが倒れたらグリムに任せましょ!」

2人からは大満足だった模様。

万遍の笑みを浮かべながら、2人はホットケーキを食べ続けたのだった


───そして夜────

「いけないもうこんな時間!」

突然飛び上がるようにしてヘンゼルが叫ぶ。

「アリスごめん、帰るね!グレーテルが心配だし」

「ええ、またいらっしゃい」

ヘンゼルは慌ててアリスの家を飛び出した。

テーブルには飲みかけの紅茶が置かれている。

「そうだね、じゃあ僕も帰るとするよ」

「ええ、またいらっしゃい」

そう言って、紅茶を一気に飲み終えたグリムもまたアリスの家を出た。

夜はランタンのような木が辺りを照らしてくれるので、道に迷うことはなく無事に家へと辿り着くことができる。

「はぁ、、、疲れた」

グリムは久しぶりの料理でヘトヘトになっていた。

少し休もうとベッドに横になったまま、すぐに深い眠りについてしまったことは言うまでもないであろう

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