第6話#謁見の間
私は国王に呼ばれ、国城内に入ることになった。
正直、会うのは初めてだし何故私なんかが呼ばれたのかと思う程だ。
だが、ギルドの看板娘、グレアに行けと言われたため行かなきゃ行けない気がした。
(処罰は免れないとか言ってたし....)
転生そうそう殺されるのはゴメンだ。
私はアニとともに生きていこうと一人誓ったのだ。
「ね、アニ....」
「クイ?」
「私....どうなっちゃうのかな....?」
アニも私の質問に答えられずそのまま黙り込む。
でも、きっと大丈夫。
私は何かとてもいい報告でも受けるのだ。
魔法使いだし、属性は黒の闇だし....
大丈夫....大丈夫よ私....。
人生一度は大きなことがある....!!
よし、行くぞ!!
私は精一杯自分に言い聞かせ、国城の入口へと足を運ぶ。
城の前は大きな門がある、それは全て金属で出来ており見るからに頑丈そうである。
並の軍隊でも突破するのは不可能に見える。
ましてや壊す事さえも....。
城は門よりも高い壁で覆われているらしい、
それら全ては黒光りする石でできていた。
「これは....一体?」
思わず声に出した時....
「そこの魔法使い!何をさっきから見ておる、もしや謀反か!」
門の前にいる一人の兵士が何やら叫んでいた。
どうやら怪しい者と間違われたらしい。
いくら謀反だとしても堂々とここで見ることは無い。
私はすぐさま、怪しい者ではないことを説明する。
「私は怪しい者ではなく、国王に呼ばれた魔法使いなのですが....」
そう説明したがその兵士は伝言を聞いていないのか、私を本当の怪しい者だと思ったらしい。
「ええい、国王の令だと!そんなことがあるか、我々は何も聞いていない!!」
「いや、私は実際国王の命令で来た──」
「これ以上洞を吹けば、この場でお前を罰する!!」
どうにか通してもらおうと思ったが話を聞いてもらえない。
「私は国王に呼び出された魔法使いなんです!!」
「クイックイ!!」
そうだそうだ!とアニも手伝ってくれた。
だが....。
「黙れ小娘──」
兵士はどうも話を聞いていないから──という理由で通してくれない。
それもそうなのだが....
「何を騒いでいる....」
私は呼ばれた魔法使い、そう主張した時、一人の男性の声が聞こえた。
「はっ!アダム様....この者が国王に呼ばれたと洞を吹き中に入ろうとしまして....」
だから、洞じゃないって....本当なんです!!
信じてー!!!
「ふむ、そうか....おい小娘、本当に国王に呼ばれたのか?」
「はい、先程ギルドにて属性を調べていた時、ギルドの看板娘の子に国王に呼ばれたので会いにいけと言われたので来た次第です」
兵士は「またホラを吹きおって....」と、ブツブツ文句を言っていた。
だがそれを無視し、男性の返事を待つ。
その男性は、白い髪のショートで青いコートを着ていた。
私の格好でも、なかなか暑いのにコートだなんて....とは思いつつも、声には出さない。
男性の名はアダムと言うらしい。
なかなかにかっこいい名前だ。
「確かに報告が来ているな、おいそこの兵士....貴様伝達を聞いていなかったのか?先程、集会にて伝達をしたはずだが?」
「そ、それは....そんな話は....」
「ふん、部下の責任は上司の責任....だが、これは貴様がしかと話を聞かなかった貴様の責任だからな....今日限り貴様をクビにする今すぐ立ち去れ!」
なんと理不尽な....とも思いつつ、その状況を静かに見守ることにした。
すると男性が私を見つめる。
「先程は兵士が失礼をしました、お詫び申し上げます。只今より王の元までご案内致します。」
男性は態度を変え私を王の元まで案内すると言い出した。
正直、こういう男も苦手であるのだが今はそうも言っていられない、言うことを聞こう。
そして私は城の中へと案内される。
門を通ったあとも金属の匂いが残る。
中も多少金属類に包まれていた。
どこもかしこもごつい感じがある。
門よりは少し小さいが大きな扉がある、とても分厚そうだ。
何人かが扉を押し開ける、中は赤いカーペットが敷かれ、壁には無数の絵画、階段が二方向から真ん中に集合するようになっている。
幼い時、絵の中のお城に憧れていたことを思い出す。
そのお城に少し似ている気がして、中を見回す。
すると、前から部下を引き連れる上官らしき人が来た。
「あ、アダムー!!」
「イブか....こんな所で何をしている」
相手の男性はイブと言うらしい、アダムと似た衣装で、色は赤、髪色は黒のロングだった。
「えっへへー、ちょっとアダムに会いに来たの!」
言葉からして同期か兄妹だと思われる。
アダムとは正反対の元気っ子という感じがした。
見た目もアダムに引けを取らず、かっこいい感じがする。女性か?男性か?見た目だけではわからない。
だが、魅せる笑顔がとても愛らしい。
アダムとイブ──その名は美術の授業で聞いたことがある。
確か、旧約聖書の『創世記』に登場する男女だとか。もしや、イブの方は女性か?
旧約聖書には、
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