第3話#変換
街の賑わいは収まる気配がない。
いつもこうなのか?それでは商人達も近くの民家の人も大変だろう。
四六時中街は大騒ぎしているのだとしたらかなりの騒音被害にあっているはずだ。
にも関わらず、どの家も窓を全開にし街全体で賑わっている。
本当に楽しそうだ。いいな、ここは愉快で。
それにしても、早くこの宝石の変換場所を探さなければな。
にしても、どこにも骨董品や、両替ができる店は無いものなのか?
それ程までにこの宝石が貴重なのだとしたら、それは素晴らしい。
いやそうじゃない、なくてはならないのだ。
─そして探すこと数十分─
あれは....もしや。
私はある店の看板を目にする。
ダイヤのような宝石のようなものに、虫眼鏡をかざしている看板だ。
もしやこれは、お宝を発掘したらここにこいというサインか?
そうなのだな?では出向こう。
そして私はその店の中に入る。
内装はとても綺麗で、椅子からカウンターまでほぼ全て新品のようだった。
どこを見ても完全に金目のものしかない。
いつ盗人が来てもおかしくない店だった。
すると1人の店員が、私に話しかける。
「お客様....いらっしゃいませ、どのようなご要件でしょうか」
良かった、日本語だ。
いや、この世界に転生したからそう聞こえるのか?
そんなことはいい、私と話しが通じるのならいいんだ。
「えっと、ここは買い取り屋ですか?」
「はい、こちらでは魔物から入手した宝石、骨董品、貴重品の取り扱いをしております」
店員はハキハキと喋り、私の問いに答えてくれた。
「では、この宝石を全てお金に変換出来ますか?」
恐る恐る差し出す数々の宝石に、店員は目を丸くする。
こ、これは一体どこで....?と言いたげなその顔で私を見つめる。
店員は何度も何度も、宝石と私の顔を交互に見ている。
何がそんなに変なのだ?やはりこの宝石は貴重品か?素晴らしいものなのか?
私は思わず、その店員に聞くことにする。
「あの、そんなに交互に見てどうしたんですか?変換できるか聞いてるんですが....」
店員は未だに宝石を見つめたまま。
これでは正直、らちがあかない。
なるべく早くして欲しい。
そう思っていると、奥から顔立ちがとても良い男が来た。
長い髪を一つにまとめ、顔立ちはよく肌も白い。
美男子と言うのだろうか、生きている時にはいなかった。
今は転生して生きているが。
するとその男は宝石を一つ手に取り私に聞いてきた。
「これは、全て君が手に入れたのか?」
手に入れた?よく分からないが、魔物から入手したと伝えよう。
「これは、すぐそこにある平原の魔物を倒し手に入れたものですが?」
何故そこまで皆が驚くのか、イマイチ理解ができない。
「ふむ、そうか....魔法使いが魔物狩りとは....珍しいな」
「そうですか?普通にいそうですけどね」
だから一体何が珍しいんだ、詳しく言いなさい詳しく。
早く変換して欲しい....ダラダラ喋りたくはないのよね。
「とりあえず、変換してもらっていいですか?」
「いいのか?こんな高価なものを、こんなに沢山」
「今の私には食・住が必要なんです、泊まるところはないし食べ物も持っていないので」
「そうか、わかった直ぐに変換してこよう」
そう言いながら、その男は宝石を手に奥の方へと入っていった。
その後に続くように、店員も中に入る。
そして待つこと数分。
何があったのかわからないが、大きな袋を抱えたまま店員達が出てきた。
「これが全てだ、本当に変換するんだな?やめるなら今のうちだぞ?」
なぜ?こんなにお金が貰えるのは想像以上の事だけど悪くは無い。
私は頷き、その袋のお金を受け取ることにした。
サイズはだいたいポシェットくらいの大きさだった。
一つ一つが小さい金貨で、ライトに照らすとよく反射する。
そのお金を持ち出ようとした時、美男子店員が話しかけてきた。
「君はすごい宝石を持ってきた、それは闇の組織で売買すれば高値で売れる、だがそれにはリスクがいる」
「はぁ....」
「闇の取引は危険だからね、道中目をつけられなかったか?」
店員にそう言われ、ここに来る時のことを思い出した。
「ここに来る時、変な男の人が俺たちに慈悲を....とか言いながら宝石よこせって言ってきました」
「やはりな、もし、また魔物から宝石が取れた時は紅黒い宝石に注意をしたまえ」
紅黒い....宝石、きっと高値で売れるやつだろう。
「いいえ、ご心配なく、こんなにたくさん出ることはそうそうありませんよ」
「君の場合、あの量を持ってくるのは異常だ....」
そう言われ、なぜか自分は変な生まれ方をしたのでは無いかと、少し不思議に思った。
あんなにも沢山宝石が集まるのから、あれが普通なのだと思っていた。
だが本来は、ましてや魔法使いがあんなにも沢山の宝石が集まるのは異常なのだと言う。
一度ギルドに行き、自分の属性とスキルを見るといいと言われたので明日見に行くことにした。
「ご来店、ありがとうございました」
店員の声が店に響き、扉の鈴が鳴る。
カランコロン....カランコロン....。
鈴が鳴り止むのを待ち、私は宿のある場所へ歩き出す。
次の日には、ギルドに行き自分の属性を調べに行かねばならない。
まさかそこで、思わぬ事態になるとは──
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