我ら人ならざる者

私は鹿に従い、山のふもとまで下りて行った。

一人だけで。

本当は寂しかった。

怖かった。

けど、勇気を振り絞ってふもとまで歩き続けた。

まるで母のような鹿や狼に守られてきた。

今度は私が頼られるようにしなくちゃ。

その一心でただただ歩いた。



そして、ようやっとふもとに着いた。

渡された地図通り歩いた。

地図に書かれた絵と文字は拙く、まだまだ幼い子供が書いたようだった。

鹿曰く赤く×を付けられたところが目的地だと言っていた。

目的地に到着し、扉を開ける。

「お邪魔します...!」

ギィ...という扉の開いた音が部屋の壁にぶつかり反響こだまする。

「お、君が新人さんかい?」

背丈の大きい青年が後ろから話しかけてきたのだ。

「...誰っ!」思わず身構えてしまった。

「あはは、そう堅く喋らなくてもいいよ。ボクは半獣半人人ならざる者の□□。よろしくね。」

鹿が言っていた半獣半人人ならざる者の青年はこの人だと思われた。

「...!!」そのとき私は状況を理解した。

初めて会った人にタメ口をきいてしまった事、これから仲間になるであろう人物に無礼な発言をしてしまった事。

私は固まった。

なんてことをしてしまったんだ。

心の中で深く後悔をしていた。

「…どうしちゃったかな?とりあえずボクらの部屋に案内するよ。」


「「「ようこそ。我ら人ならざる者の拠点ひみつきちへ。」」」


わたしは拍手喝采を受けながら初めての場所へと迎え入れられた。

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