1-53 零課

 青鷲に乗る夏音が海外金融庁の入る築地のビルにやって来ると、警報音がうるさく鳴っていた。

 中の人達は何が起ったのか分からずにエントランスで右往左往している。

 夏音と人型になった青鷲は中に入り、アイスで渡利と比嘉がビルの最上階にいる事を確認してエレベーターへ向った。

 しかしエレベーターは原因不明の故障を起こしていた。

「どうしよう圭人?」

「・・・・・・しょうがないな。僕が走るよ」

 圭人は再び青鷲をバイクに可変させると、夏音を掴んで乗せ、階段へと向った。

「揺れるよ」

 大きなタイヤは段差をものともせずに猛スピードで登っていく。それでも最上階は遠かった。

 夏音は圭人にしがみつきながら、比嘉の顔を思い浮かべていた。

「すぐに行くからね」

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