1-44 零課
本部に神崎からご機嫌な連絡が入った。
「一名確保。お見事ですわ。課長殿」
それに真田はちらりと左後ろを見て答えた。
そこには夏音が立っていた。
「零課のお嬢さんのお陰だ。どうやらこの子は相当目がいい」
スクリーンを眺めていた夏音が挙動のおかしい男を偶然見付けた。
男の目が何かに怯えきょろきょろと動き、呼吸が正常でない事をAIより発見したのだ。
夏音は「偶然です」と遠慮するが、褒められて嬉しそうだった。
「引き続き頼むよ。君も、神崎もね」
夏音はこくんと頷き、神崎は「了解」と言って通信を切った。
「それにしても、痴漢とはねえ。恐れ入ったわ」
神崎は隣に居る臼谷へ笑いかけた。
臼田は胸の前で手を振って釈明する。
「あ、いや、触られてませんよ。触ってたら撃っちゃいますから。ほんとですよ?」
「分かってるわよ。後ろで見てたんだから。それに触ってたらあたしが先に撃ってるわよ」
「もう、先輩ったら♪」
笑い合う二人を見ていると、捕まって犯人護送様の車に乗せられた男はやらなくてよかったと心底思った。
どうやら他にも仲間が捕まっているみたいだった。
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