第2話

 想いの強さが勝敗を決めるとか、そういう考えは好きじゃない。覚悟に優劣なんてつけたくないから。


 だけど、折れそうな心を支えるとき。膝をついても諦めないかどうか。そこには、想いが関わってくるのかもしれないと思う。少なくとも僕が今、立ち上がろうとしているのはそういうもののお陰だ。


 剣を、杖に。ありもしない力を振り絞る。


「どう、して」

 ふと、呟く声が聞こえた。

 そんなの決まってるじゃないか。


『必ず生きて帰る』

 ――「約束した、からな」

『頼んだぜ、勇者サマ』

 ──「それに、皆の、期待を背負っているから」


 震える脚の下で、じゃり、と音が鳴った。

 ああ、立てた。立ち、上がれた。ならばまだやれる。戦える。


 僕はもう一度、剣を握り直した。

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