大剣魔法使いVS飛行型パワードスーツ(2)ラノベ調

 いきなり警官が、崩れ落ちた。

 背中を見ると、防塵チョッキの上からナイフが刺さっている。

 まさか、生き返った上でチョッキを抜く勢いで、ナイフを投げたの?

 桜は倒れながら、思った。

 足音が聞こえる。

「さすが、日本の最強。もうちょっとだったねぇ」

 ルキアはレイピアを持ってこちらに歩いてくる。

「ルキア!なぜ生きてるの!あなたの目的は・・・・・・」

「さっき生き返った。あたし、勇者だからね」

 興味なさそうに、ルキアは呟いた。

「戦いたかった。あんたよりあたしのが強いってとこを見せたかっただけ」

「そ、それだけのために民間人を焼いたの?」

「それだけだって!?ふざけないで。強さのが、他人の命より重要だ。それに、我々の世界では死ねば天国に行ける。こちらの世界での現世は、地獄と呼ばれている。あんたもあたしも皆も地獄産まれってことさ」

「じゃあ、なぜレイピアで私の胸を突かなかったの」

「相討ちは最強の恥だから。レイピアじゃ止まらないしね。そっちこそ、死が怖くない突っ込みだった」

 ルキアは興奮冷めやらぬような表情のままだ。心底殺しが好きな勇者なのだろう。

「相討ちできるなら、充分だった」

「質問するわ。地獄か天国か、全ての魂はどこにあるべき?」

「地獄。私達は、今生きてる!」

「本当に?地獄より天国のが皆よっぽど気に入るけどね」

「じゃあなぜあなたは地獄にいるの?」

「殺せるから。それだけ。天国は戦争も闘争もなにもない」

「それでも、私はこの世界で生きていたい!だれかを守りたい。あの人を守りたい!皆、この世界が大好きなんだ!」

「あの人って?」

「それは、私の好きな人だけど、そんなことあなたには関係ない!」

「そ、どこまでも社会適合者ね。じゃあ地獄で生かしておいてあげるわ」

 ルキアがレイピアを掲げると、桜の傷が一瞬で治り、警官が目を開けた。

「街も治しておいてあげるわ。もったいない。死は救済なのよ?全員天国に行けたのに。オーディン様があなた方を歓迎するところだったのに。ちゃんと契約もしたのに」

 桜は急に立ち上がって、ルキアに触ったが、軽くはじき飛ばされた。

「私は、あなたを逮捕する!殺人罪、その他全ての重罪だ!」

「透視」

 ホログラムが浮かぶ、街は全て元通りだ。人も歩き始めている。桜は目を大きく開け、ただ立ち尽くしている。

「これで、犯罪じゃないだろ?」

ルキアは笑った。

「普通に全部治しても迷惑防止条例とか傷害罪だ!絶対逮捕してやる!」

 桜がルキアに殴りかかるが、ルキアはただ立っているだけだ。

「知らねー。いいだろ。また殺し合おうな!今度は菓子とか持ってくるからさ!」

 ルキアは歩き始めて、黒いわっかの中に消えていった。

 桜はただ立ち尽くしていただけだった。

「ま、桜さん。また今度がありますって」、警官が桜の肩を叩いた。

「今度なんて二度と来るなぁぁぁぁ!」、桜は叫んで、地団駄を踏んだ。

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