葬送

窓の外は雨だった。

あの日は、友達の葬式の日だった。

機械みたいに灰をつまんで、投げる。

何度目かの葬式は、いつもみたいに素っ気なかった。



車を一人で降りて、どこか人の多い、明るい場所を求めてさまよった。

一人になりたくなかったけど、誰とも話したくなかったから。



あの子の連絡先を削除する時、迷った。

だけど、消した。

それが一番、よかった気がする。





もう二度と連絡することがない番号を、今でもずっと覚えている。

なにも忘れられてはいないけど、いつかそれも忘れてしまうのだろうか。





それがいいようもなく、怖かった。






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