殺陣:メテオ 無双と対日本刀


 男は殺し屋<殺手>だった。

 殺し屋の獲物は、ただの、数メートルの長いロープの先に、金属の重りを着けた武器と、ナイフ二つだ。

 左手にロープの端を持って、折りたたんで持つ。右手はロープの重りの方に近い場所を持つ。それだけだ。

 左手と右手を背中に隠して、重りを足の後ろに垂らす。

「よう」

 目の前の男に話しかける。男が足を止めた隙に、足で重りを蹴りあげた。蹴りあげられた重りが、流星みたいに降りそそいだ。

 男の胸に当たり、男がよろめく。もう肋骨が折れている。縦に振り回し、今度は頭頂部に振り下ろされた。頭が太鼓みたいな形になって、男は倒れた。脳のかけらが重りに着いた。

 殺し屋は、重りにキスをした。そして、倒れた男の胸に重りを振り回して、振り下ろした。

 中国刀を持った男が、今のを見て駆けつけてきた。

 殺し屋は重りを下から上に、そして八の字を描くように振り回し始めた。

 刀持ちは、足を止め、重りの合間を縫おうと見計らった。

 殺し屋がその勢いで、重りを投げた。男の肘に当たり、男が刀を落とした。そして左手で引き戻す勢いで上から下に振り回し、両手で振り回し、速度をつけてから背中に当てた。脊椎が砕ける。

 殺し屋がナイフを取り出し、男の首にナイフを刺して、刺して、刺して、刺して、刺して、刺して、刺して、刺した。

 首は骨以外ではつながっていない状態になった。

 殺し屋は死体の頸椎を踏んで、ついにへし折って、生首を持ち上げた。死体の背中に座った。

 そして生首の喉から手を入れて、口から手を出した。

「ハロー。ハロー。ハロー」

 殺し屋は呟いて、あたりの川に首を投げ捨てた。


 殺し屋が歩いて行くと、少し広い場所についた。中庭だろう。

 男達がぞろぞろと出てきた。

 殺し屋は重りのすぐ上のロープを踏んでいる。

 男の一人が、距離に入った。

地面に垂らした錘を蹴りあげた。錘がサッカーボールみたいに飛んでいく。

 男の胸にぶち当たった。男の胸骨が折れ、たたらを踏んだ。

 錘が戻る反動と向きを利用して、そのまま上から振り下ろした。頭にぶち当たり、男が倒れた。頭蓋骨が軟らかくなってしまっている。

 そしてその反動で、また錘が殺し屋の手元に戻った。

 くるくると振り回した後、手に錘を戻した。

「かかってこいよ」

 違う男が突っ込んだ。殺し屋が錘を顔に向かって投げつけた。ひるんだ隙に、そして戻ってきた重りを頭に振り下ろし、殺した。

 頭上で水平に振り回し、周りの人間を近づかせないようにした。走り抜け、包囲を脱出した。

 そして上から縦に振り回した。脇で軌道を変え、重りをたった数十センチ近くで振り回した。それで、手を出して来た男の手が砕けた。次で、手を押さえた男の頭が、割れた。

 反動で、重りを手に戻した。

 もう一人は、周りを回るように動いた。すぐに、頭上で水平に振り回し、囲まれないように、回って動いた。

 一人が頭を下げた。そして、殺し屋に向かって走り出す。殺し屋は飛び蹴りをして、その股間の間を通した。

 重りが男のこめかみに当たる。もちろん、死んだ。

 槍を持った奴が走り出した。殺し屋は左手だけにロープを持って、水平に振り回している。

 右手には投げナイフ。槍を持った男の胸に投げられたナイフが突き刺さった。


 日本刀を持った男が出てきた。これが今回の標的だ。

 男は正面を向いて、剣先を殺し屋に向けて構えた。

 殺し屋は下から上に、縦に振り回し始めた。

 そして8の字を描き、容易に近づけないようにした。

 殺し屋は膝を狙って投げた。男が飛び退く。

 殺し屋は驚き、男が脅威であると認めた。

 戻ってきた勢いで、上から下に振り回す。両手を使って、ものすごい速度で振り回し始めた。刀でロープを受ければ、背中に回り込み頸椎を打ち砕くか、切れた瞬間に重りが飛んできて男の顔面が陥没するだろう。本来、中世の装甲した兵士を打ち砕くための者だ。

 剣で、振り回している最中の重りを弾こうと思った。しかし、そこまで到達しようとすれば、重りが投げられて飛んでくる。

 だが、男は前に出た。三角の歩法、日本の刀を使った殺人術で最も美しく、そして基本的な動きだ。少しだけ斜めに動く。そのため、重りは男の脇を通り抜けた。

 男は剣を振り上げた。しかし、背中に重い衝撃。

 引き戻された重りが背中を打ったのだ。

 図られた。

 痛みで、動きが止まる。男は全く興奮していない。殺し合いに慣れすぎて、緊張をしていなかった。だからこそ、痛みすらも鮮明に感じ取った。

もう殺し屋は走って、距離を取っている。そして、また死を回転させ始めた。

 男は背中をさすったが、即座に動けなくなるほどでは無い。

 殺し屋は、男をなぶり殺しにしようと思っていた。それが趣味だった。また、下から上に回し始めている。

 男は、投げに気をつけながら、構えた。

 だが、構えを解いた。

 剣同士の戦いでは無い。動き回ることの方が重要だ。刀を右手だけで持ち、自由に動き始めた。

 殺し屋は、男に背を向けた。

 そして、あろうことか逃げはじめた。

 男はあっけにとられた後、怒り狂って殺し屋を追いかけた。

 だが、それは誘いだった。

 殺し屋がいきなり後ろを振り返って、投げた。男はまともにみぞおちに食らう。男がみぞおちを押さえて、丸まった。

 殺し屋は引き戻す勢いで、縦に振り回した。

 男の左肩に流星が降って、砕けた。そして、手元に重りが戻った。また振り回す。

「これは最も残酷な武器だ。殺し方は自由。いくらでもいたぶれる」

 殺し屋は笑った。

 男は右手だけで刀を持った。

 殺し屋はまたすぐ男の脇に投げて、引き戻す勢いで膝裏を打った。

 男がひっくり返る。そして、また振って、左足を砕いた。

「立てよ」

 男が刀を支えにして、左足を引きずりながら、まだ刀を持っている。

 殺し屋は、男に重りを投げた。男が刀で重りを弾くが、弾きかたが悪かった。軌道がそれて、男の右肩に当たった。

 刀が落ちる。

 殺し屋は重りを振り回して、男の頭を打った。そして、ナイフを抜いた。

 そして、男を何度も刺して、殺した。

 その後、男の生首を持って依頼主に突きつけた。

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