第12話
橘のいう『隠れ家』とは普通の民家だった。まあ佐々木の閉鎖空間の中なので、どこでも勝手自由に使って問題ないのであろう。
「んん…ん…」
背負われていた佐々木がようやく目を覚ました。藤原が屈むとぼんやりと自分の足で立った。橘が大丈夫ですか?と気遣った。藤原は俺たちを置いて、一人スタスタ家の奥へと歩いて行った。
「どこか、具合の悪いところとか、ないですか?」
「ああ、私…うん、大丈夫、だと思う」
ぴょんぴょんと跳ねながらペタペタと顔やらなにやら触りまくる橘に若干戸惑いつつ、佐々木が自分でも確かめるように答えた。
「橘さん、九曜さんは?」
はたと橘が動きを止め、困ったような顔で俺を見てきた。俺に振られても…。
「おい」
部屋の奥へと姿を消したはずの藤原が戻ってきていたが、さっさと来いとばかりのジェスチャーだけしてまたすぐに姿を消した。
とりあえず九曜の件はそこでいったん棚上げとなった。
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