第5話

 自分の教室に戻った俺はもはや何もする気にならず寝ることにした。不貞寝ってやつだ。何で俺ばかり毎度毎度こんな目に会わなくちゃならない。初めからいないだと?一年の時から休学だと?ふざけんな!!!





『たすけて・・・キョン・・・あたしを・・・助けて』


 俺は立ち上がった。俺にはやるべきことがあった。授業をしていた教師が声をかけてきたので体調が悪いので保健室へ行きますと答えて廊下を走った。


 頼まれたじゃねえか、ハルヒに。『あたしを助けて』って。嫌なこったと逃げるには、ちょいとばかり深入りしすぎているんだ俺は。


 俺が向かったのは当然保健室ではなく、文芸部の部室だった。部室のカギは職員室にあり、当たり前だが授業中である今は使用することはできない。だが、手掛かりになるのはここしか思いつかなかった。誰もいない部室棟に入り、階段を昇っていく。古い建物なので、ドアを破ることができるかもしれない。


 部室の前についた俺は深呼吸をした。そしてドアノブを捻りながらドアに思いきり体を打ち付けると、何の抵抗もなくドアが開いて部室に転がるように入れてしまった。


 そこにあったのは


テーブル

パイプいす

ポット

急須

ボードゲーム

多種多様なコスプレ衣装

当時は最新式だったパソコン


 いつもの部室だった。昨日俺が三人にハルヒが早退したと言ったときそのままの状態で部室は存在した。


「何で…」


 その時突然俺の携帯が鳴り響いた。これはメールの方だ。 送信者を見て思わずあっと叫んだ。佐々木だ。しかも一件じゃない。ものすごい勢いで受信件数が増えていく。何だこれは。故障か?ようやく受信し終わり、一番新しいメールを開いた俺は、即座に部室を飛び出した。



『橘京子です。喫緊の事情があり佐々木さんの代わりに連絡しています。今回の件について説明いたします。駅前公園で待っています』

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