第8話 意思

テレビから目が離せない。

気がつけば、テレビの一点を30秒以上見つめていた。

はっと我に返り、注意して見てみると、そこには何故か、

自分の電話番号が表示されていた。

その下には、名前、住所、父母兄弟の名前までもが明記されていた。


画面の端から端まで見ていると、急に画面が変わった。


画面には、「ようこそ」と書かれていた。

訳が分からいままその四文字を見つめていると、今度は画面が暗くなり、白い文字で大きく「AAI」、その下には有名な医療機器メーカーの名称である"Kripton"の文字。


「なんでクリプトンがAAIと...?」


思いつくのは、Kriptonが医療機器以外に、隠れて何かを企んでいた、ということ。

詳しい事情はわからないが、最近Kriptonは新製品を出しまくっていることを思い出した。

新製品の多くは、医療には関係の無さそうなものばかりだった。医療に関係あるものといったら、ガンマパルス発生装置や、医療用超合金あたりが浮かぶくらいだ。

他にも色々な名前のものがあったが、名前が複雑で思い出せない。


ともかく、なぜAAIとKriptonが組んでいるのかを調べなくてはならない。最近発足したばかりのAAIが、そう簡単に世界的大企業と組むはずが無い。ましてや、医療と人工知能という、一見関係なさそうであるような組み合わせだ。


「怪しすぎるだろ....」


そんなはずはない、とは思いながらも「Kripton 陰謀」と検索エンジンにキーワードを走らせる。


「やっぱり...そうだったか..」


検索結果にずらりと並ぶ、「Kripton陰謀論」というキーワードが目に染みる。

内容はほぼ同じようなことだった。

「Kriptonは敵か、味方か」

「Kripton、医療機器と称しAAIに加担か」

「Kripton陰謀論 〜戦慄の嵐〜」

俺はここで違和感を覚えた。


「AAIは人類の見方じゃないのか?どうしてこんなに批判的なんだ...?」


答えは簡単に見つかった。


AAIは、"人間ではない"。

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