第5話 風穴

爆撃が始まった。

辺りには爆撃機と見られる飛行物体が飛び交い、真っ黒な巨大物質をいくつも落としていた。


「こちら4a42、エリアy45c、y45d、y45e、解放しました」


パイロットはそう言うと、機体を太平洋側へと反転させる。


「機体番号4a42番、ルート1288で戻れ。」


司令官と思われる声が無線機から流れる。


「4a42ルート1288、了解。」


機体が大きく傾く。

パイロットの顔に表情はなかった。


―――


大きなサイレンが鳴り響き、辺り一帯の人々に注意を促す。


「爆撃期間が終了しました。落ち着いて、慌てずに指定されたエリアへ移動願います。」


大勢の人が、北関東へ集まっていた。


「みなさん、落ち着いて、慌てずにこちらのゲートをゆっくり歩いてくぐってください。」


係員と見られる人が大勢いた。

中には、自動小銃を装備している者もいる。

まるでいまからテロが起こるかのような警備だった。


「おぉい..まだかよ..速くしろよ!」


なかなか動かない人混みに飽きたのか、1人の男が声を荒らげる。

しかし、群衆のざわめきによって無常にもその声は響かなかった。


世界規模でネットが炎上している。


「AAIの爆撃が凄いらしい」

「いつになったら家帰れんの?」

「半強制的に関東追い出されたけどなにか?」


世界でも同じようなことが行われている。

この方法は、本当に人類を救う正しい方法なのだろうか。


"俺にはまだ何も出来ない"

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