第4話 希望

閑散とした住宅街に高周波の音が鳴り響く。

音が収まると、スピーカーからは人間の声が聞こえてきた。


「明日、爆撃を開始します。

現時点で関東圏内にいる方に警告します。

明日の午前7:00がタイムリミットです。

逃げ遅れたも者に救済の措置は一切ありません。

繰り返します。明日....」


非情にも、逃げ遅れた人の多くを占めるのが、老人や病人だった。


「おばあさん、歩ける?」


1人の若い女性が、住宅街で逃げ遅れた人々がいないか調べていたところ、80代と見られる女性が家の中で座り込んでいた。


「ありがとうねぇ、こんなばばあなんて見捨ててしまってもいいのに。」


そんなことない、と言い放ち、女性を車に乗せてその家をあとにした。


全ての住宅街を見終わる頃、彼女の運転する大型のバスには、約30人ほどの老人や病人や怪我人が乗せられていた。


「あら、あんた久しぶりねぇ!ここ最近見かけなかったけど、元気してたの?」


中には、知り合い同士のものもいたのか、車内が賑やかだ。

これで、後は一旦、圏外へ出て乗客を下ろすだけとなった。


「バスなんて久しぶりね、何年ぶりかしら」


やはり、老人となると、なかなか外へ出ない人もいるようだが、老人が取り残されてしまう1番の要因がこれではないか、とも思える。


1,2時間が経ち、バスはいよいよ圏外へと近づいていった。

流石に疲れたのか、寝る人も多数見受けられた。


私にはこんなことしか出来ないけど、と女性は呟いた。

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