第47話 南

カイヌは動揺していた。自分の中に溢れる力がましていく。しかし、目の前の少女は全く動じない。

今まで見てきた生物であれば、この力で逃げる。それが今回の相手は一筋縄では行かないのだ。

全く。久々に転生したのがこれだ。これだから現実はやめられない。夢の中とは違い、ハプニングが起こる。

カイヌはもともと夢の世界の住人だ。人々が憧れ、木々がのぞみ、動物が畏怖の念を抱く存在だ。

ところが、目の前の少女は嬉々としてこちらを見つめる。

リューリン「血脇踊る。」

彼女は一言はなった。

瞬間、カイヌの目の前には大きな拳が届いた。

避ける?

否。

受ける。

カイヌ「ガッ!」

鋭く思い拳がカイヌの腹部に直撃する。

あたりから逃げていた、龍が戻ってきた

龍「やべえ・・・やべえ・・・。この世の終わりだ・・・。」

龍「なんだこりゃ・・・。」

あたりはまるで隕石が落ちたような穴が空いていた。

リューリン「げは・・・。」

なんと、血を吐いたのは少女の方だった。

カイヌの腹部に拳が届いた瞬間、彼は少女の顔面に鋭い蹴りを入れていた。

カイヌ「蹴りは拳の3倍の威力だぜ。しかも、カウンター。効いただろ。」

リューリン「いい、衝撃だ。久々だ。血を吐いたのは。」

地面に血痰が落ちる。

リューリン「ふはははははあ!あの時以来だ!!!血を吐いたのは!!!!」


大地が震え、空には暗雲が立ち込め、龍たちは暴れる大自然を食い止め、必死に星の崩壊を守った。

龍「ちょ、本気で壊すのか!」

カイヌ「こ、こりゃだめだ。逃げる!」

カイヌの呪絵がひかる。

カイヌ「インテ!」

瞬間、カイヌの体が消えた。

勇気ある逃走だった。


それに気がつかず、リューリンは宇宙から隕石を呼び寄せた。

リューリン「龍の涙よ、ふりそそげ。」


ハゲジジイ「やれやれ。」

いつの間にか、騒ぎの中に一人の小柄なハゲたジジイがいた。

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