第40話 トーニとウルミ

西の国


トーニ「終わったな。」

ウルミ「うん。これで良かったのかもね。」


狼「国が滅んだのに、清々しいとは不思議ですね。」

狼「コッキーうめえwwwなんだこれwwwなんだこれwww」

狼「私、お手ができるようになりましたよ。ふふふ。役者狼も悪くないですね。」

狼「西の国は楽器というものがあるんだな。」

狼「僕は歌を覚えたよ。狼聖歌隊を作ろう。」

狼「絵の具とは面白い道具ですね。これでペタペタすると色がついて良いです。」


トーニ「よし、ひと旗あげるぞ!西の国へ感謝の恩返しだ!」

ウルミ「そうね。世界中の人が訪れたくなるような芸を磨きましょう。」


トーニとウルミはクールガが作った第二王都にすんだ。

120匹の狼はそれぞれ、個性を生かした仕事についた。


絵ばかり書くもの、歌ばかり歌うもの、コッキーばかり食べているもの。


狼は労働力として優秀で、西の国において輸送の手伝いもするようになった。


石材などの重い資材でも、ソリに乗せ狼が引っ張る。

しかし、民とは馴染めず、やはり異国の者として扱われた。


不思議なことに、絵や音楽に秀でた国民は狼と波長が合うらしく、懐いている。


西の民「ふむ・・・。この絵にはなんだか怒りを感じますね。狼殿。」

狼「はい。北で感じた不条理を表現しました。赤の色を前面に出しています。」

西の民「素晴らしい・・・。この肉球の形が素敵です。それでいて、爪が表現するこの線はどこか、悲しい。」

狼「なんだか、褒められると、恥ずかしいでござる・・・。」



狼「あおー!アオーン!」

西の民「アオーン!アオーン!」

狼「お前すげえな!狼じゃねえか!」

西の民「ふっふっふ。まだまだ!アオーン!」

狼「アオーン!ハッハッハ!」

西の民「おお、下を出して発声すると、横隔膜が動きますな!興味深い!」


西の民「おお!?お前バク宙できるのかすげえ!」

狼「お前も猿みたいな身のこなしだな。」

西の民「逆立ちはできるのか?ほら、こうだよ。」

狼「む、こうか?あ、」

ビターン


西の民「だっさwwww」

狼「すげえwww世界が回ったww」


西の民「狼用の楽器が欲しいですね。王様に要望を出しに行きましょう。」

狼「それはありがたい。どうしてもドラムが叩きにくくて。」

西の民「東の国の太鼓のようなものがあるといいかもしれません。」

狼「太鼓か・・・。いい響きだ。」

西の民「以前、サリタ様が再現したのものがこれです。わが国では一つしかありませんが。

狼「おお、高さといい、叩きやすい。ポコポコポコ。ポンポコポコ。やべえこれ楽しい!!」

西の民「むむ、独特なリズムですな。ピアノと合わせてみましょう。」


トーニ「うーん!平和が一番だ!それに狼と話せるのが俺らだけじゃないとはな。」

ウルミ「そうだね。それにしても、パン美味しいなぁ。私パン職人になろうかな。」

トーニ「おお、いいな。俺はこの力を生かして、武術を学ぶぜ。強くなれば、国を守れるからな。」

ウルミ「この原料の小麦ってなんだか癖になるな・・・。不思議。チーズと合わせたらいい味だと思うなぁ。西の国はチーズがないんだね。」

トーニ「おお、そうか。牛はたくさんいるのにな。」

ウルミ「これだけ豊富な食料があれば、飢える人もいないよね。みんな幸せそう。」

トーニ「住んでわかったんだが、北の国民も住んでたんだな。捕虜になって処刑されたかと思ってたぜ。」

ウルミ「あの王様、只者じゃないね。器が広い。」

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