第22話 アルキと老人2

アルキ


アルキ「脳みそはどこにあるんだ。」

クールガ「脳みそは頭に入っとるが。まぁ、黙ってこれを食ってみい。」

アルキ「?なんだこれ、初めてみるぞ。パク・・・。む!?」

クールガ「どうじゃ?」

アルキ「美味しいぞ!しかも暖かい!脳みそより力がみなぎるぞ!」

クールガ「そうじゃろそうじゃろ。サリタ王子の特製パンじゃからな。って食いすぎじゃろ!?」

アルキ「もうないのか?まだ腹は減ってる。もっとくれ。」

クールガ「備蓄してるのを持ってきてやろう。ついでに、そこのお菓子も食ってええぞ。王子の試作品だがの。コッキーじゃ。」

アルキ「パリパリ。ガリガリ。もぐもぐ。」

 なんだ、このジジイ、美味しいものばっかり持ってるぞ。さてはたくさんの狩りをしたのだろうか。しかもまだ備えがある。なんだ、このジジイ。うまいぞ。このコッキー。力がみなぎる。


アルキ「コッキー!なんてうまさだ!体に力がみなぎる!!!!」

クールガ「ただいま・・・。もうなくなってる!?ほれ、パンのおかわりじゃ。」

アルキ「おかわり!」

そうか、この魔術で食べ物が増えるんだな。

アルキ「パクパクパクパク。おかわり!」

クールガ「ホイホイ・・・。全くすごい食欲じゃな・・・。」

アルキ「モグモグモグ。おかわり!」

クールガ「ホイホイ・・・。備蓄してたのも持たないな・・・。あれ?」

アルキ「おかわり!おかわり!」

クールガ「ふ、増えてる!?」


『おかわり アルキの好んだ食品が無限に増える。満腹になると使えなくなる魔術。』

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アルキ「ふう。もうお腹いっぱいだ。」

クールガ「わしの3ヶ月分の食料が減ったり増えたり、結局元どおりじゃ。全く、恐ろしい魔術じゃ。」

アルキ「じじいのヒゲはどうしてそんな長いんだ。」

クールガ「ん?じじいじゃからじゃよ。」

アルキ「私もヒゲが欲しいぞ。」

クールガ「お主は女じゃから生えんじゃろ。」

アルキ「そうなのか?どうしてだ?」

クールガ「人間には男と女がおるのじゃ。」

アルキ「じじいは干からびた女なのか?」

クールガ「違うわい。わしは干からびた男じゃ。」


アルキ「そうか。男は好きだぞ。じじいも好きだ。うまいものをいっぱい持ってる。」

クールガ「そいつはありがとよ。わしも結構好きじゃぞ。その毛並み。綺麗じゃの。赤色なんて珍しいのう。」

アルキ「うん・・・。」


アルキには不思議な感情が芽生えていた。

この世界を終わらすために生まれてきた獣にはなかった感情だ。


クールガ「ははは。口を舐めるでない。くすぐったいじゃないか。」

アルキ「ぺろぺろ。うむ、うまいな。じじい。眠いぞ。」

クールガ「満腹になったら寝るか。そうじゃな。わしも今夜はぐっすり眠れそうじゃ。」

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