第19話 西の国

西の国 郊外の小屋


老人「ふう・・・。もうそろそろ寿命かのう。もう100年はいきたし、悔いはないが。」


その老人は人里離れたところで、宝石を作っていた。


老人「最後にこの力作を誰かに進呈するかのぉ。しかし、人間なんか欲望の塊のような奴にあげたくないの。馬にあげるか・・・。きっと長生きするじゃろう。」


老人は飼っていた馬を探した。

放し飼いにしていたため、探すのに骨が折れる。


老人「あいてて・・・。全く歳はとりたくないものだなぁ。後3ヶ月はしなんつもりじゃったが・・・。馬も見えぬし・・・。」


老人は小屋に戻った。全身が軋む。


老人「王子が残してくれた、薬と食事でもしよう。痛みも楽になる。」


そこにはパンと薬があった。

『王子特製パン 栄養たっぷりで、疲労回復に効果的。薬と摂取するとその効果が跳ね上がる。』


老人「サリタ王子はまだ民のために、働いておるのかな。全く、こんな石造りしか脳のない老いぼれにまで施しをするとは。いやはや、王都は衰退どころか、ますます繁栄するだろう。せめて、もっと宝石を生み出したかったが・・・。これらをサリタ王子に献上すれば、うまく交易に使ってくれるだろう。」


老人の小屋にはまばゆいばかりの宝石があたり一面にあった。

この辺りは岩肌ばかりで食料に乏しいが、良質な鉱石が取れる。

老人はそれを加工し、光沢を出す技術はサリタ王子によって、ますます精度を上げ、ついには太陽のような輝きを放つ宝石を生み出した。


『クールガの宝石 あまりに美しすぎるため、これを欲しがり、戦争の火種になるとされている宝石。偽物(レプリカ)はこの世に一つしかない。争いのタネになっている。寒い地方に持っていくと、瞬く間に氷を溶かす。北の国は西の国の宝である、この宝石を奪おうと長い間戦争を起こしている。西の国が温暖な気候で安定しているのはこの宝石の力である。』


老人「うまく、北西の地点にこの石をおけば、両国のためになるのに、全く北の国の欲の深さといったら・・・。」


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アルキ

随分と移動した。途中で食べた馬はとても美味しかった。肉質が良い。ただ、脳みそは空っぽだった。


アルキは西に向けて走っていた。


ん・・・。人間の匂い?あの建物だ!!!

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