第4話 アルキ
アルキ
どこかで、何かを感じた。強い獣の気配だ。しかし、遠い。
まだ、倒せない。本能で察知した。
私は二つ足の獣が好きだ。楽しい。
今では奴らの頭蓋骨を被り、狼の毛皮を纏っている。
大きな獣とは出会えた。四つ足の長い獣だった。
しかし、楽しくなかった。大きければ、うまいわけでもない。それに、食べきれないし、重い。
持って帰ろう。
道中、思い出していた。
二つ足の獣の方が楽しかった。
今まで4体倒したが、どの獣より、楽しい。
骨と土でできた家は快適だ。
ここなら雨は避けられるし、暖かい。
しかも、骨は食える。
4回ほど、月の形が変わり、家に帰ってきた。
家に帰ると、あの生き物がいた。
私はゾクゾクした。やった!ついにまた出会えた!
私は、よだれを垂らしながら、歓喜した。
アルキ「ウオーーーーーーーーー!」
あの生き物は、こちらに気がつき、武器を操り、こちらに向かってくる。
それを避け、弾き、音がなる。
カキンとなる音が好きだ。
臓器の隙間をさす。相手が声をあげる
ここをさすと、たくさん赤い液体が出る。とても綺麗だ。しかしその液体は美味しくない。
北の兵「アグ・・・。何だこいつ・・・。」
アルキ「?」
この獣が放つ音は不思議だ。
北の兵「野犬でもないし、俺がここまでやられるとは。しかも武器が見えねえ。何だこりゃ・・・。先発部隊の4人が全滅したから、偵察にきたら、家があって、調べてたら、お前の家か・・・。くそ、悪趣味な。俺も悪運尽きたぜ。何だ、地獄かここは。しかも、確か、ここは戦場でずいぶん激しかったところだ。西の国の生き残りにしては、強すぎるな・・・。
何だあの、被ってるのはまさか、頭蓋骨か・・・。」
アルキ「アグ・・・?」
北の兵「それに、あの持ってる獲物・・・。キリンじゃねえか。あんな生物仕留めたのか・・・。ばけものが。これは逃げるに限るな。どのみち、この出血じゃ、もう戦えん。」
アルキ「キリン・・・?」
私は察知した。こいつ、逃げる気だ。
瞬間的に、剣を投げ、足を突き刺した。
北の兵「ガ!?」
アルキ「が!!!!!」
楽しい!すごい!音が出た!これだから、この生物は最高だ!!!!
北の兵「クソが・・・。」
その獣は動かなくなった。だいたいこの生物はここをつくと、10秒くらいで動かなくなる。
この生物は脳みそがうまい。
私は意気揚々と、ねぐらに帰った。今日は獲物がたくさんだ。嬉しい。
足の長い4足歩行の獣はとりあえず、家の横に置いておいた。こいつは切り身にして、穴蔵に貯蔵しよう。
『穴蔵 アルキが地下を掘り、作った天然の冷蔵庫。肉が保存されている。自然の力で5度に保たれている。』
肉を美味しく食べるために、工夫するようになった。
調理した方がたくさん食べられるし、お腹も壊さない。うまい。
頭蓋骨を鍋にして、脳みそを茹でる。これがうまい。
アルキ「ガーーーーー!ガーーーーー!ウオーーーー!」
まん丸にひかる、月に咆哮し、感謝を捧げる。
しかし、この獣の肉は美味しいし、脳みそもうまいのだが、あの音は不思議だ。
今度きたら、捕まえて、観察してみよう。やっぱり好きだ。食べるのはその後にしよう。
アグ、キリン、ガ
どの獣も、鳴かない音だなぁ。不思議だ。
考えながら、私は綺麗に脳みそを飲み干した。
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もしかしたら、あの獣は、どこかに家があるのだろうか。
私は考えていた。
ずいぶん、力は付いてきた。
キリンって何だろう。
僕は長い足を食べながら、考える。
アルキ「キリン・・・。キリン・・・。もぐもぐ。」
足が長い割に、肉がついていなくて、不味い。
狼も不味い。
不味い肉は焼くとうまい。
4つ足は茶色の毛に覆われた奴が一番うまい。
脳みそは空っぽだが、肉がうまい。
それに狩はしやすい。つまらないけど。
やはり、二つ足もの獣だな。
私は思考能力と言語能力が開花していた。
確か、北のほうから来たな。あいつ。
行ってみようかな。もしかしたら、たくさんいるかも。
銀の剣は一本だけでなく、たくさん出せるようになった。
今では、この辺りでは、ゾクゾクする感覚はない。
もっと楽しい奴に会いたい・・・。生死をかけるような戦いがしたい・・・。
わたしは食事を終え、家を捨てた。
北へ向かって、歩き始めた。
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