第3話 サリタ

サリタ


んー。コカの葉をすりつぶすと、なんだか独特な匂いがするなぁ。

『コカの葉 コカという木の葉 サリタが森林で発見した。独特な香りがある。薬効があり、大体の病を治せる。』


これを小麦に混ぜて・・・。うわぁうまそうな匂いだ。


よし、あとは蒸し焼きにして、発酵もさせたし。大丈夫だろう。

隠し味に、この薬品を入れて・・・。


なんかやばい感じがするな。この匂いは・・・。コカの葉と、アウルの相性か?

『アウル アウルの木から出る樹液。熱すると粉になり、色んなものと混ぜ合わせることができる』


よし、メイドに食べさせてみよう。


サリタ「おーい、ルクシアー。」

ルクシア「いかがなさいましたか、サリタ様。」

サリタ「新作を作ったんだ。食べてみてよ。」

ルクシア「まぁ、これで4万個目ですよ。これが商品化すれば、ますますご主人様はおよろこびになるでしょう。あぁそれにしても、いい香り。これは、なんという食べ物ですか_」

サリタ「名前かぁ・・・。そうだな。コッキーかな!」

ルクシア「コッキーですか・・・。ではいただきます。パクパク。んん、良い食感ですね。それにいい香り。」


大丈夫そうだな。


ルクシア「あははは!美味しい!!!とっても美味しいですわ!!!!」


サリタ「!?」


ルクシア「なんて幸福なんでしょう!わたくしめは!あぁ!」

す、すごいな泣いて喜びながら食べてる。


ルクシア「も、もっとないのですが!もうなくなってしまいましたわ!!」

サリタ「ま、まだあるよ。ほら。」

ルクシア「まぁ!!!!」


参ったな、コカの葉を30枚と小麦が1キロ練ったものがあっという間だ。

しかし、これはいけるな。コカの葉なら森にたくさん生えてるし、量産体制も取れそうだし。でもなんか、異常に喜んでるけど・・・。まぁいっか。


ルクシアは恍惚の表情でうっとりとしている。


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サリタ「父上、新製品のお届けに参りました。今回は食べ物です。」

マーク13世「おお、サリタか。入れ。」

サリタ「失礼します。」

マーク13世「ん、この香りコカの葉か。」


サリタ「はい。コカの葉が30枚に対して小麦1キロを混ぜ、24時間発酵させ、5分蒸し焼きにしました。発酵させた状態なら暗所で1ヶ月は持ちます。」

マーク13世「ふむ。多少料金を釣り上げても、流通は問題さなそうだな。レシピは書いたか?」


サリタ「はい。こちらに。それと、ルクシアが貪り食うように食べていたので、やはり、コカの葉には強い、幸福感を引き起こし、中毒性があると思います。なので、コカの葉を20枚に下げたものをレシピにしました。」


マーク13世「ふむ。お前がいうなら、そうしよう。よし、あとは手配する。利益が

出たら何か欲しいものがあるか?」


サリタ「そうですね・・・。兵器の開発に着手したいので、その設備を新しくしたいですね。いまだに、剣と盾では非力です。遠い、東の黄金の国では鉄砲と爆弾という兵器があるそうです。」


マーク13世「なに?なんだそれは」

サリタ「殺傷能力に優れた品です。使い方によっては、その兵器を使うだけで、1人が10人も100人も倒せるという優れものです。」

マーク13世「我が国きっての発明家であるお主がいうなら、間違いないだろう。剣の名手でも、5人がやっとだ。しかし、東の国はこちらにまでは攻めてこないのだな。」


サリタ「平和な民族ですので、こちらが手を出さなければ、大丈夫でしょう。それなのに、この近代的な兵器を持っているのは、おそらく、過酷な環境がそうさせたのでしょう。ここのように安定した気候ではないし、災害の多い国と聞きます。」


マーク13世「わざわざ、危ういところに行く必要はないな。しかし、交易ができるようにあると楽なんだがな。」


サリタ「そうですね。一度、私を使者に出しますか?我が国で東の国の言葉を話せるのは私だけですし。」


マーク13世「それはありがたいが、お前の知能はかなり貴重だ。」

サリタ「その点は大丈夫です。書物に今までの功績をまとめたので、そしてアイディアのコツを大量に残しておいたので、あとはお酒ばかり飲んでる役立たずの研究者たちに任せれば、勝手に発展すると思います。」


マーク13世「ふむ。なるほど。相変わらずの手際だな。ルクシアを連れて行くか?ああ見えて、有能だろ。」


サリタ「そうですね。ルクシアは戦に出れば、負けなしですからね。」


マーク13世「よし、移動に馬を出そう。」


サリタ「父上、そういえば、移動手段も新しいものを作ったのでした。馬は栄養を取らないといけませんし、それに私は嫌いです。臭いし。」


マーク13世「むむ?そうか。馬はいいぞ。」


サリタ「僕には、クデール3号があります。明日の朝出発します。」

マーク13世「うむ。では私の署名の手紙を向こうの王に渡してくれ。交渉ごとはそちらに任せる。」


サリタ「はい。それでは失礼します。」


やった!ついに夢にまで見た東の国に行ける。ふっふっふ。いつまでも本と写真の世界で満足してる私じゃない。あぁ、どんなところなんだろう。今までの発明が40億ガルドくらいだからな。その見返りみたいなもんだ!ふっはっは。


『ガルド 

この国のお金の単位。農民だと、年間1000ガルドもあれば、生活に困らない。』


ルクシア「あぁ!サリタ様!もっとください!!!」

サリタ「げ。お前まだ食ってたの!?というか?ん?」

ルクシア「そうなんです!サリタ様、私、力がみなぎってまいりましたの!!」


サリタ「おいおい・・・。」

ルクシアは備蓄してあった、20キロのコッキーを食べ尽くしていた。

そして、肉体が明らかに、大きくなっていた。

さっき見た、1.5倍くらいに。

サリタ「これはまずいものを作り出してしまったかもしれん・・・。」


ルクシア「力がみなぎってきましたわ。今なら何十人もの兵士をバラバラにできそうですわ!!!!」


身長も伸び、骨格まで成長している。大岩でも投げ飛ばしそうだ。


サリタ「これは平民に渡ったら、一気に国力が上がるな。うむ。北の国に遅れを取ることはないだろう。」


ルクシア「あぁ!北の国!!!忌まわしき!」


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今、私たちの国は戦争状態にある。

戦争といっても、兵士同士が戦うだけだが。平民たちは変わらぬ生活をしている。


東西南北に点在する民族がいる。


世界地図で見ると主要国は以下である。僕の国は西にある。


西 要塞国 王都バルティア


北 監獄国 ケール王国


東 自然国 ジャポヌ島


南 龍神国 ダイヌ族


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我が国、王都バルティアは長い間、北のケール王国と戦争状態にある。

もう、300年になる。


その間、他の国は独自に文明を築いている。


戦争の発端は、一方的な北の国による、略奪と暴力だ。

こちらも応戦しているが、農民が多い国なので、圧倒的に兵力が足りない。


その点、北の国はほとんど狩猟で生活してるせいか、武力に長けている。


東と南の国はお互いに、友好関係を築いており、民族間の和平も長い。


時折、南のダイヌ族に援軍を出してもらう。

ダイヌ族は、龍がたくさんいる。こちらで馬を乗るように龍に乗って生活をしている。この龍が暴れ出すと、ものすごい兵器になる。しかし、温和な一族なので、あまり戦争には参加したがらない。


私たちの国の特産である、馬肉、農産物、酒を提供する代わりに、兵力を借りている。


南の国にも、興味はあるが、今は東だ。それに、こちらの使者もだいぶ南の国に住んでいるので、私が慌てて、行くこともないだろう。


ジャポヌ島は、黄金の国と呼ばれている。周りを海に囲まれている島だ。

ジャポヌ民族という民族がいるらしい。

たまにでる本や旅人が唯一の情報源だ。


私が7歳の時であった、唯一のジャポヌ島の住民。

ユリーヌ。

もう5年前か。私が7歳の時だ。


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ユリーヌ「ん?」

サリタ「も、も、も、も」

ユリーヌ「も?」

サリタ「もしかして、ジャポヌの人ですか!!」

ユリーヌ「あ、ああ。君は誰?」


これは全くの偶然だった。私が馬肉の量産装置を作り、工場を作る資材であるバナヌの樹木を取りに行っていた時だ。


『バナヌの樹木 とても硬く、伐採するのが困難だが、加工するととても頑丈な資材にある。建物や家を作るときに使う。』


その少女はバナヌの木の上で昼寝をしていた。

真っ黒の長い髪に、深紅に光った瞳は、夢にまで見た、ジャポヌ民族の証だった。そして、見たこともない、衣服に、髪飾り。腕には龍が描かれている。指にはたくさんの文字が描かれている。


ユリーヌ「お、原始的なチェーンソーだな。貸してみ。」

彼女は僕の持っていた、樹木を伐採する機器を取り上げた。


ユリーヌ「ロシイセチョウ、ヨキキ。」


彼女の手のひらから放たれる光と、呪文のような言葉が、機器を包み込んだ。


次の瞬間、一気に真っ黒空間ができ、彼女の手には小型の見たこともない機器があった。


ユリーヌ「ほれ、もっと楽になるぜ。」

僕が開発したよりも高度に複雑になり、さらに軽い。

サリタ「す、すごい。何ですか今の?」


ユリーヌ「魔術ってやつだよ。」


サリタ「その体に、描かれている絵と関係あるのですか?」

ユリーヌ「おお、鋭いな。君。そうだ。呪絵ジュエという。」

サリタ「呪絵ジュエ・・・。」

ユリーヌ「ちょっと頭、触るぞ。」


彼女は僕の頭に手を当てた。

長い指が僕の頭を丸っと覆う。

ユリーヌ「おお、王族か。通りで。おー賢いけど、まだ脳を使いきれてないな。よし、覚醒させてやるよ。君は賢者類だな。」


その後、手があっという間に赤くなり、力が僕の脳に注ぎ込まれた。

ユリーヌ「ロキオ、ヨャジンケ。」


辺りが真っ暗になった。


その後、しばらくすると、僕はユリーヌの膝の上で寝ていた。

ユリーヌ「おお、起きたか。どうだい気分は?」


目の前の色が変わった。そして、感覚が鋭敏になり、樹木の名前、加工法が頭に浮かんできた。何をどう、加工すれば、最適化するかがわかる。


サリタ「す、すごい。レシピがどんどん出てくる。」


ユリーヌ「賢者類は自然界から加工する術が山ほど出てくるんだよな。」

サリタ「これが魔術・・・。東の国はみんな使えるんですか?」


ユリーヌ「ああ、そうだよ。ちょうどいいや、この国のこと聞かせてくれよ。」

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