第41話「見ちゃったんだよね」

「どうした?」

心配そうに春樹が顔色をうかがってきた。


「いや、なんでもないの。」

春樹の笑顔にボーっとしちゃいました、なんて

言える訳ない。


なんだか、告白しづらくなっちゃったな...

しょんぼりしている私に、

春樹もまた、しょんぼりと、静かに話し始めた。


春樹「ローファーさ、俺、見ちゃったんだよね。」

私 「えっ?」


見ちゃった?何を?


春樹「こないだ、亜由美のローファーの裏...」

私 「私の、ローファーの裏?」

春樹「はがれてたでしょ?」

私 「あぁ、うん。」

春樹「見るつもりじゃなかったんだ。」

私 「え、どういうこと?」

春樹「ごめん。それ、謝りたくて。」

私 「いや、何のこと?」

春樹「ごめん。」

私 「いいんだよ、別にそんなこと...」

春樹「それ、ずっと謝りたかった。

   今日は帰るね。」

私 「うん、またね!」

春樹「うん。」


あまりにもしょんぼりした背中をしているから、

それ以上は聞けなかった。


ローファーの裏に、何があったんだろう?

何か、書いてあったんだろうか?


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