第40話「すっかり忘れてた」

呼吸も落ち着いただろうか。

よし!


私 「あのさ、春樹...」

春樹「ん?落ち着いた?」

私 「うん。待っててくれてありがとう。」

春樹「いいえー。」


どう、言うべきだろうか?


小6の自分から託されたこと、

春樹に、告白すること。


いや、めちゃくちゃハードル高くないか?


そうだ!とりあえず、ローファーのことから。


私 「思い出したの、ローファーのこと。」

春樹「卒業記念のね。」

私 「ローファー、見本品をさ、

   こっそり二人ではがしたよね。」

春樹「あぁそうそう、ちょっとはがれかかっててさ。」

私 「自分たちでローファーの底、デザインしてさ。」

春樹「そうそう、そんで、未来の自分へ届くころ、

   サイズはいくつですか?ってハガキが来る。」

私 「私さ、すっかり忘れててさ。」

春樹「俺も、すっかり忘れてた。」

私 「だよね!」

春樹「ね!」


そう言って、笑顔になった春樹に、

一瞬クラっとした。


そうだ。

私は、春樹のこの笑顔が、

昔からずっと好きだったんだ。

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