歩道橋に置いて

第38話「ローファーの約束」

未来の私へ

元気ですか？

高校生かー...あこがれのJK！

靴のサイズ、いくつになったかな？

彼氏とか、これから出来るのかな？

私は、今、好きな人がいます。

これから卒業式で、そしたら、

好きな人とは別の中学になるから、

もう会えなくなります。

会えなくなるってなったら、さみしいけど、

だから告白しようか、すっごい悩んだ。

でも、今の私にはその勇気はないです。

だから、未来の自分に、

この思いを伝えます。

そして、必ず告白してください。

お願いします。

私は、春樹が好きです。

この気持ちは、高校生になっても、

忘れないでいてほしい。

忘れていたら、思い出してほしい。

ローファーの約束。

ローファーをね、茶色にしようって、

春樹と決めたの。覚えてる？

ローファーの裏、はがれた時に、

この気持ちを思い出せるように。

じゃ、未来の私、よろしくね。

小６の亜由美より

―私は急いで駆け出した。

その私の背中に

母の「行ってらっしゃい」が

優しく響く。