第37話「読んでから行きな」

私が手紙を書いた当時。

小学校6年生だ。


卒業制作に作ったローファーの靴の裏。

高校入学する時期に、届いたローファー。

そのローファーと一緒に、

未来への自分への手紙が入っていたなんて。


たしかに、あの当時の母は、

なんだか元気がなかった。


お父さんは単身赴任というふうに聞かされていたけど、

そうか、離婚したのはその時期だったのか。


母「ごめんね。あなた宛ての手紙なのに、読んじゃって...」

私「だから、いいってもう!

  どうせ大したこと書いてないだろうし。」

母「いや、ほんと、ごめん。」

私「じゃ、もう、行くから。」

母「その手紙、ちゃんと亜由美に渡したから、

  急いでないなら、読んでから行きな。」

私「急いでないけど、いいよ別に。明日でも。」

母「いや、今読んでいきな。」


「未来の私へ」

そう書いてある封筒だった。


恐る恐る、封筒を開く。

1枚の便箋が、中にあった。

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