第5章 過去の自分からエール

第34話「母宛の手紙」

きっと私は、このまま。


この3人の微妙な距離感のまま、

歩道橋での逢瀬が続いていくのだろうか。


不安で押しつぶされそうだった。


その気持ちを、必死に隠すように、

今日も晴れの歩道橋に向かうんだ。


玄関でローファーを履きながら、

そんなことを考えていた。


そんな時に限って、

珍しく、母から声をかけられた。


母「ねぇ亜由美。」

私「なに?」

母「ローファー...」

私「ローファーが、どうかしたの?」

母「渡しそびれてたのよ。」

私「何を?」

母「ローファーだけ、亜由美に渡しちゃったでしょう?」

私「だけ?」

母「母宛の手紙があったのよ。」

私「え、それ母宛の手紙なら、別に私関係なくない?」

母「入ってたの、母宛の手紙に、あなた宛ての手紙が」

私「え、どういうこと?」

母「ごめん、気づくの遅くなって。」


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