第26話「あったかいよ」

最近、春樹と会える歩道橋での時間が

再び私の楽しみになっている。


私 「寒いね。」

春樹「うん、凍えそう。」


と言う春樹は

マフラーも巻いていないし、

コートも着ていない。


春樹は、頭からつま先までジーッと見た私が、

何を言おうとしたのか分かったようで、

まずいことを言われそうだと察知したように

頭をポリポリと掻いた。


私 「実は、めんどくさいんでしょ?」

春樹「バレた?」


お互いの顔を見て、フフフと笑い合った。


春樹「亜由美は?マフラーしてるけど」

私 「うん。首元、あったかいよ?」


そうか!マフラー。

その手があった。

プレゼントすればいいのか。

いや...なんかそれ、あざとい。

ちょっとベタすぎないかな?


春樹「寒いからもう行くわ。」

私 「寒いから?」


ちょっとムスっとした私を見て、

春樹は焦ったのだろうか、

間髪入れずに言葉を続けた。


春樹「冗談だよ!(笑)じゃね!」

私 「うん。またね」




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