第25話「メリークリスマス」

リビングの窓の外を見ながら、

歩道橋に向かうか迷っている

晴れのクリスマス。


これは、一種の...


母「好き避けだよ、それ」

私「別に、避けているわけじゃないし」

母「しばらく、行ってなかったでしょ?」

私「でも、今日は...」

母「ケンタッキーの日だから?」

私「だって、たぶん、春樹は...」

母「春樹くんチがそうだとしても、関係ないでしょ」

私「どうせ、そんな私との歩道橋なんて」


「でも...」「だって...」「どうせ...」

「3D」と言われるこの3つの言葉が、

自分の頭の中を駆け巡っては、

すぐに消えていく。


ふと、しばらく歩道橋に行かなかった後、

久しぶりに春樹に会った時の...

あの時、何か寂しげそうな春樹の表情。


ハッとした。


母「行ってきな」

私「うん」


何か、吹っ切れた私の肩を、

母がポンと叩く。


無我夢中で走る。

クリスマスの歩道橋に向かって。


春樹「亜由美、メリークリスマス。」

私 「メリー、クリスマス。」

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