第22話「亜由美です」

黒髪の彼女「不思議ね。」

私    「何が、ですか?」

黒髪の彼女「なんだか私たち、普通の友達みたい。」

私    「実はそれ、今私も同じこと思いました。」

黒髪の彼女「でも、私は...」


そこで、黒髪の彼女が言葉に詰まった。

お互いにうつむいてしまった。


友達じゃない、とでも言いたいのだろうか。

言わせたくはなかった。

だから、私はやや強引にこう言ってみた。


私    「今さらこう言うのもなんですが、

      私たち、友達になりませんか? 」

黒髪の彼女「それ、何だか照れくさくて言えなかったの。」

私    「ですよね。今、私すごく恥ずかしいです。」

黒髪の彼女「そういう素直なところはうらやましい。」

私    「で、その...」

黒髪の彼女「ええ。友達になってください。」


彼女の顔が、みるみるうちに真っ赤になっているのが

遠くからでも分かった。


黒髪の彼女、シャイなんだな。


今度はこちらにしっかり顔を向けて、彼女はこう言った。


黒髪の彼女「ゆかりと、申します。ひらがなで、ゆかり。」

私    「私は、アユミ。アジアの亜に、自由の由、

      美しいと書いて、亜由美です。」


ゆかりが、コクリとうなづいて、

手を振りながら、歩道橋の階段をおりていった。


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