第18話「雨の音が好き」

傘に、雨がぶつかって、音が鳴る。

私は、この音が、実は好きだ。


私「今日は、雨、やみそうにないですね」


遠くへボールを投げるように、

黒髪の彼女と会話のキャッチボールを始めた。


黒髪の彼女「そうね。でも、いいのよ」

私    「何でですか?」

黒髪の彼女「雨の音が好きなの」

私    「あ、分かりますそれ」


その言葉を最後に、

ここでキャッチボールは終わってしまった。

そう思った。


黒髪の彼女「ねぇ、いつまで隠れているつもり?」


黒髪の彼女の声が、豹変した。

まるで、鋭い牙のようで、とても冷たい。


彼女が立つほうに近い階段から、急に人の影が見えた。


春樹だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る