第2章 雨がくれたプレゼント
第8話「誰?」
ドキドキした。
あの日、春樹と再会した雨の日の歩道橋の上は。
笑ったあの笑顔に、昔の面影を感じたが、
小学生の時の気持ちとは、また違った感覚だった。
あの日以降、毎日、
それもあの時間と同じ、朝に、歩道橋にのぼっている。
もう一度、この歩道橋をのぼれば、春樹と会えるんじゃないか。
そう期待してしまっている自分がいる。
もう、春樹には会えない。
もう、会えないんだろうか。
歩道橋の上で、いつの間にか冬を迎えていた。
雨の混じる北風を全身で感じながら、
今日もそんなことしか考えていなかった。
今思えば、雨が降ったのは
春樹と再会したあの日以来だった気がする。
帰ろうかなと向きを変えた時、
「誰?」と一言だけ、
反対側の階段から、見知らぬ女の人の声がした。
彼女の冷たい視線が、私に向けられた。
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