第4話「靴の裏」

お気に入りのローファー。


黒ではなく、茶色にしたのは、

なんでだったんだろう?


ぐしょぐしょになったローファーを見つめていると、

春樹が思い出したように、こう言った。


春樹「そういえば、

   小学生の時に作ったローファーじゃなかったっけ?」

私 「いや、そんな記憶ないけど。」


無意識に、ぶっきらぼうに言ってしまったが、

めげずに春樹はこう続けた。


春樹「ほら、ローファーの底というか、靴の裏をさ…」

私 「あ!」


そうだ、思い出した。

小学校の卒業記念で

ローファーの裏のデザインを自分で作ったのだった。


たしか、スニーカーとかも選べたはずだったけど、

私はローファーにしたんだっけ。


高校生になったころに、

タイムカプセルのように自宅に届くシステムになっていた。


高校入学する前、そういえばお母さんとこんな会話したな。

「アユミ、ローファーのサイズ、

 いくつにするかっていうハガキ、届いたけど、

 あんた足のサイズ、いくつだったっけ。」

「24.5。」


そうか。

自分が卒業記念品で作っていたローファーだったのか。


そう思い出しながら、ぼーっとしていたら、

さらに春樹がこう指摘した。


「ところでそのローファー、

 靴の裏がはがれているの、気づいてた?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る