第3話「絶好の雨宿りスポット」

どこかで…

どこかで見たことがある気がする。


「おう、アユミ。やっぱりお前だったか。」


顔をしばらく見ていたら思い出すだろうか。

不思議そうに彼の顔をじっと見ると、彼はこう続けた。


「俺だよ俺。ハルキ。クリヤマ、ハルキ。」


「あぁ、ハルキか!」


思い出した。小学生の時、

母と一緒に見た歩道橋からの景色。

そのワンシーンを知っている人物が、

一人だけいたのだ。


それが今、私の目の前にいる、

栗山春樹(クリヤマハルキ)という

同級生だったのだ。


たしかに、小学生のころの面影が残っている。


「ここが絶好の雨宿りスポットだってこと、

 なんで知ってたんだ?」

不思議そうな顔で、彼はたずねた。


「知らないよ。

 たまたま雨が降ってきて、

 無我夢中でここに来たんだよ。」


土砂降りの雨で、

お互いがもうびしょびしょだった。


お気に入りのローファーも、

ぐしょぐしょになっている。


靴の中がチャプチャプしていて、

なんだか気持ち悪い感覚だ。


仕方がないので、ここで少しだけ、

雨がやむのを待つことにした。

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