第3話 放射線
「放射線に関係することか?」
一線を越えてしまった。彼らはエネルギー搾取の末に核物質の持つエネルギーに目がくらみ、物質維持の救世主と考えたようだ。だが、核物質そのものやその廃棄物から放出される放射線をコントロールできなかった。前にも触れたが、それはあまりにもダイレクトに自己複製プログラムにダメージを与えてしまう。それどころか、強い放射線は物質そのものを破壊してしまうんだ。
「自己複製物質が如何に穏やかな条件のなかで誕生してきたか、を示すものだね」
そうなんだ。そこに、惑星eのデリケートさがあり、貴重な試料としての価値がある。
「意図的な負のコントロールと失敗の記録もあるようだね」
自らを守る手段として用意した放射線エネルギーで互いを攻撃してしまった。想像力に長けたホモS種の不安定な側面だ。
惑星eは宇宙放射線だけでなくホモS種によっても深刻に放射線汚染されてしまった。
「しかしそれは何宇宙(unv)年か前の話しだろう?
その後の彼らはどうなっている?」
惑星eの表面に住めなくなった彼らは地中に潜り、自己複製プログラムに出るエラーを排除するために、そのサイエンスの力で、増殖や成長をプログラム管理するように学習したようだ。
「それは進歩なんだが、自身が物質としての本来の姿に立ち返り、宇宙物質と同じテーブルに乗り始めた。そんな信号が、まだ弱いんだが、ここ何宇宙(unv)年のあいだに受信されるようになっているね」
それこそ種の進化と言えるかも知れない。宇宙とのコンタクトに気付き始めた。自己複製する物質からの進化というか、物質宇宙の未来を考えるうえで貴重な試料となりそうなんだ。
「もう少し具体的に聞こうか?」
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