第15話友情の再築
巣の周辺を飛び交っていたヒトクイドリ達が、駆けつけてくるセイバに向かって一斉に襲い掛かる。
「【閃斬】!」
セイバの持つ剣が光りだす。そして剣を振ると三日月状の光の斬撃が飛ぶ。ズバズバと斬り落とされていくヒトクイドリ。
「すげぇ、今ので数十匹は倒したな……」
流石はザ・光の騎士。その名にピッタリはまる技を持ってらっしゃる。
「はっ、イカンイカン、俺も加勢しなくては!」
両手で【黒弾】を2つ放ち、2匹沈める。
「……さっきの見た後だと規模が違いすぎて虚しくなるわ」
チラリとまたセイバの方に目を向ける。一撃でヒトクイドリ達をバッタバッタと斬り倒していく。1秒に2、3匹は倒してるだろう。動きを参考にしようにも、速すぎて不可能だ。
「ま、俺はいつも通り、頭を働かせて頑張りますか。【バスターク】」
セイバの近くまで走り出す。狙いは背中合わせのように戦い、後方はお互いに任せて前方の敵に集中するためだ。といっても、目まぐるしく動くセイバに接近しすぎると、かえって邪魔をしてしまう。近すぎず、遠すぎない距離を見定めて陣取った。
襲い掛かってくるヒトクイドリに頭や首をメインに斬りつける。俺はセイバと違って、胴体を両断する技量もパワーもない。急所に当て、なるべく一撃で仕留める。
ただ、頭や首はそこまで大きくないため、当てにくい。体勢的に難しいときは翼を攻撃し、地上に落として機動力を奪う。地上に落とした奴は蹴り飛ばして遠くに追いやり、飛んでいる奴を減らすのに専念する。
「ハァハァ、やっと数えられるくらいになってきたか……」
肩で息をし、顎から汗が滴る。ヒトクイドリの数はもう十匹だ。
「む、案外少なかったな」
セイバが横に並んでくる。息が切れるどころか、汗ひとつかいていない。この人やっぱおかしいよ、身体も数字感覚も。
「……一足先に休憩するか?」
「へへっ、ご冗談を」
流石に疲れた。かといって、それは気が引ける。最後まで付き合いたい。
「ふっ……ならば共に行くぞ!」
「おうよ!」
2人は一気に前に出る。それぞれ1匹ずつ斬り倒した後、俺は【黒弾】、セイバは【閃斬】】を放つ。これでラスト1匹。
「最後の1匹は私が頂こう!」
セイバは笑って言い、ヒトクイドリに向かってジャンプする。が、横から剣が過ぎ通り、ヒトクイドリの胸に深々と突き刺さる。
「これでチェックだ」
俺ははそう言ってドサッと地面に寝転ぶ。
セイバは歩み寄って手を差し伸べる。
「なかなか面白い戦い方だった」
俺は手を掴んでゆっくり立ち上がる。
「いえいえ、数では完敗です」
「特に最後のは見事だった。本来武器を手離すのは愚かだが」
「「ぷっ、あっははは!」」
最初の稽古を思い出す。隠しごとがない今では、やっと心の底から打ち解けた気がする。
「最初に私のセリフを取るなっ」
「でも続けたのはセイバだろう?」
俺達はしばらく手を取ったまま笑い合った。
「……なぁセイバ、大事な話があるんだ」
まずは言わないとな、あいつのことを。そうじゃなきゃ、いずれセイバは殺され、こうやって笑い合えることができなくなってしまう。
「あぁ、聞こう」
「信じられないと思うが……実はお前のところの騎士団長はーー」
「いやいや〜、2人共おつかれさんっ! で、僕がなんだって?」
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