第14話 決意の朝

セイバは手紙を読んだ次の日の朝、ギルド集会所に来て、依頼を受ける。内容はヒトクイドリの討伐。そしてギルド集会所から出ようとするとライアン騎士団長と出会う。


「よっ! 今日も依頼かい? 相変わらず精が出るね〜」

「団長、おはようございます」

「何しに行くんだい?」


「今日はヒトクイドリの巣の討伐です。先日、ヒトクイドリの群れが外壁を飛び越え、街に被害が出たのは報告しましたよね?

その巣が発見されたので、2度と被害に遭わないようにと依頼が出ていたので」


 セイバは依頼にあった内容説明をそのまま言う。

「あぁそうそう、それでセン君が闇の力を使うってわかったんだよね〜」

「……」


「まぁ彼は犯罪に手を染めてるわけじゃなかったし、一応開放したけどね〜。その後は会った?」

「いいえ、まさか…」


「え〜そうなの? 友達だったんだから連絡ぐらいしてないの〜?」


セイバは首を横に振る。

「……私は斬り捨てようとしましたから」

「ふ〜ん」


「団長こそ、別件の調査はどうですか?」

「あぁ、森林地帯の先にある岩盤地帯、さらにその奥にある街と周辺の村々で異常が集中してるみたいだね〜。人、モンスターが突如暴れ出す現象が。ま、大体わかってきたから、近々出発する予定さ」


「わかりました。それでは行って参ります」

「気をつけて〜といっても心配ないか君には。あっはっは!」

ライアンは笑顔でセイバを送り出した。


 〜〜〜〜〜


 センは一足先に森林地帯でセイバを待つ。目先にはビルぐらいある一際大きい木があり、そこがヒトクイドリの巣になっている。グァ! グァ! と鳴く声が絶え間なく聞こえてくる。


「……これ何十匹いんだよ……」

巣の周辺を飛び交うヒトクイドリ達を見て、呆れ気味に呟く。こりゃあ、全部倒すのに骨が折れそうだ……


待っていると遠くからセイバが見える。

「おーい! こっちだセイバー!」

センは手を振って呼びかける。セイバもそれに気づき、手を挙げようとするが躊躇い、ぺこりと会釈する。


そりゃあ、気まずいだろうなぁ。でも来てくれたってことはありがたいし、あの反応だと俺をしばきに来た訳でもなさそうだ。


「よう、セイバ!……あー、その、この前は」

「謝罪は不要だ。それに、私こそ……その」


「グェェェ!!」

 1匹のヒトクイドリが奇声を発しながら飛んで来る。それに気づいたセンは剣を引き抜こうとするが、セイバが目にも留まらぬ速さで斬り落とす。


「いや、話は後にしよう。私はこの巣を討伐しに来たのもある。まずは殲滅してからだ」


まぁこの巣を落としとかないと、あのゲス野郎にも怪しまれるしな。


「あぁでも俺、闇の力を使わないとまともに戦えなくて……」

多少筋力とかは上がってるかもしれないが、剣だけで挑むのは、あの大群を前にすると成すすべはない……


「……街を守ろうとその力を使ったのだろう? 私のことは気にしなくていい。それに……」


セイバは巣に向かって数歩前に行き、背を向ける。


「……私も悪かった」

恥ずかしそうに小声で言うと、巣へ駆けていった。

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