小説のための小説
犬井作
小説を書くことについて
小説を書いてみる。
小説を書くことを題材にした小説を考える。
書いてみるためにエディタを起動する。
簡単のためスマホのアプリを利用する。
液晶下面からせり上がったキーボードをタッチして、文字を打ち込む。
“mojiwoutikomu”
ローマ字入力を用いる。
”もじをうちこむ“
変換する。
”文字を打ち込む”
このようにして文章は描き出される。
あるいは音声入力を使う。
発話する。
振動が二進数を通じて文字列へと置換される。
“文字を吹き込む“
いずれの文章も、情報の流れはこうだ。
肉体による入力→電気信号→変換→文字列の出力
ところで、肉体の入力は思考のあとに行われる。「指先を動かす」あるいは「発話する」これらは電気信号から生じる。
ところで、ネット上の文字情報を受け取ったのはこの眼球だがそれも電気信号で情報が運搬される。
つまり、情報の流れはこうだ。
情報入力→(電気信号)→情報出力→(電気信号)→文字列の作成→(はじめにもどる)
この小説はなにか。
小説を書くことを題材にした小説である。
論考は十分であると判断した。ゆえに結論を述べる。
「書き手」とは情報を元に文字列を出力する函数である。
入力情報に、指定はない。
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