第二話 僕の隣に住んでいるマンガ家が家に来るようです。

「いや、あれだけ戸惑っていたので急に元気よく来られるとビックリするというか……」


「別に私はお前のことを思っておらんぞ! 言葉のあやじゃ」


 お姉さんと女子高生っぽい少女はふてくされた俺を囲むように言い訳していた。


「別に怒ってないけどね!」


 俺はふてくされながら、いや実際こんなことでふてくされる俺ではない。


 実のところこうやってふざけていれば巨乳お姉さんと美乳女子高生が体をくっつけながら言い訳してくるのでその感触を楽しんでいるのである。


 そう思いながら幼女の方を見ると軽いジト目で俺の方を見ていた。


「ツクモお兄ちゃん、ふてくされたフリしながらおっぱいの感触を楽しまないでよね」


 ばれた……だと!?


 そう幼女が言ったとたん女子高生っぽい少女は


「お前も所詮、狼じゃな」


「ツクモさん……残念です」


 そういい二人は離れて言った。


 このままでは俺の名誉が……


 話をそらしたかった俺は、今まで聞いていなかった三人の名前を聞くことにした。


「そういえばお前たちの名前を聞いてなかったな! 俺は神崎ツクモ!九十九と書いてツクモだ! ピチピチの二十二歳、よろしく」


「知ってます」

「知ってるに決まっておる」

「知ってるよー」


 三人は同時に知ってるコールをした。


 やっぱりみんな何年も使ってるだけあって俺の名前は知ってくれているらしい。


「じゃあマクラからー」


 そういい一人称が枕のピンクがかったショートヘアーの幼女から自己紹介を始めるらしい。


「マクラの名前は抱上マクラ! 枕って書いてマクラ、そのままだよー! 年齢は十二歳でーす! ちなみにわかってると思うけどー枕から生まれたよー」


 元気いっぱい答えた幼女のマクラは紹介を終えた後本棚から漫画を取り読み始めた。


「あ、紹介終わったらもう漫画読むんだ……」


 若干俺への興味のなさに悲しさを覚えながら次の女子高生っぽい古風な少女に目を向けた。


 少女は出番が来たとばかりに勢いよく立って胸をポンッと叩き自慢げに、そして自信満々に自己紹介し始めた。


「わしは毛利フオリ、布織とかいてフオリじゃ!齢は十五歳、よろしく頼むぞ! ちなみに毛布から生まれた物だ」


 若干みんな俺の自己紹介の仕方をまねしてきて今更恥ずかしくなってきたが、そんなメンタルブレイクしにくるみんなには負けじと最後に紫がかったロングヘアー、そして左目の下にある泣きボクロが特徴的なお姉さんに目を向けた。


 するとお姉さんはにこっと笑って、立ち上がり丁寧なお辞儀をした後自己紹介をした。


「こんには、初めまして……といっていいんでしょうか、ってそこはどうでもいいですよね!」


 お姉さんは今までの流れをぶち壊しイソイソいながら挨拶をし始めた。


 天然かっ!!


「私は布団から生まれました、布瀬団子と書いてフセダンゴです、ダンゴとお呼びください……年齢は十九になります」


 その胸にある二つの大きなダンゴはどうしたんですか? といいたかったが俺は今の最低評価を脱すべく我慢した。


「その胸にある二つの大きなダンゴはどうしたんですか?」


 今俺が思ったことをそのまま幼女マクラは言った


「ちょっ! なんでおまえ心読めるんだって、あ……」

 普通に墓穴掘った


「あらあら」


 ダンゴさんは口に手をあて笑顔で反応し、特に嫌がる様子はない。


 アレ、割と好感触?


「最低評価だとそれ以上下がんないんだよねー」


 すかさずマクラは悪口を言う。


「お前容赦ないな!」


 その後全員の自己紹介を終えた俺はそれぞれバラバラな年齢について考える。


「みんな年齢バラバラだよな」


「ああ……それは」


 お姉さんのダンゴさんが何か言おうとしたが俺は止めた。


「いや、俺が答えを当てよう」


 ダンゴさんは空気を読んでキッチンへお茶を汲みにいった。


「何か年齢には共通点があるんだよな」


「ん~」


 バカみたいに考え込んでいる俺にイライラしたのか女子高生フオリはその個性的な古風なしゃべり方でヒントを与えた。


「ヒントじゃ、わしのこの古風なしゃべり方はお前の歴史好きに影響しておる」


 そう言うとフオリはおもむろにベランダに向き合って歩きはじめたが、気にせずに考えた。


「ってことは、何かしら俺に関わることってことか」


 俺は何か関係あることかと思ったが全然わからない。


「ツクモお兄ちゃんはマクラを買ってから何年使ってるのー?」


 マクラは漫画を寝っ転がりながら口を開いた。


「たしか、枕は十歳の頃に買ってもらって今年で十二年……あ! そういうことか」


 フオリやダンゴさんも同様、俺が買ってから使った年数の分この美少女たちの年齢も上がっていってるのだ。


「やっと気づいたかツクモ」


 フオリはどこから持ってきたかわからないセーラー服を着ていた。


「っておい! そのセーラー服どっから持ってきた!!」


 俺は犯罪のにおいがプンプンしたのですかさず聞いた


「ベランダに出たら隣の部屋にこれが干してあってな」


 フオリは当たり前のように言うが立派な犯罪だ。


「いや、勝手に持ってきちゃダメだから!!」


 俺は大きな声で叫びながらフオリのセーラー服を脱がせようとした。


 すると話を聞いてたダンゴさんも困ったように言った。


「あれ? ダメでした? 私も拝借してしまったのですが……」


 振り返るとピッチピッチの紫色のタートルネックワンピースを着ているダンゴさんと目があった。


 だから妙にエロいと思ったんだよっ!!


「もしかして……マクラ、お前」


 妙にぶっかぶっかなTシャツを着ながら漫画を読む幼女、マクラの方へ顔を向ける。


「うん、マクラもお隣さんからもらったよー」


「いや、それ盗んだだけだから、おじさん捕まっちゃうから」


 それもそのはず、はたから見ればただセーラー服などの女性服を盗んだ二十二歳のアパート管理人である。しかもそのお隣さんが……相手が相手なだけに体中が震えだした。


「そんなにまずかったですか?」


 ダンゴさんがおどおどしながら俺に問いかけてくる。


「ああ、隣の家はマンガ家目指している女子高生が住んでるんだけどな、あいつめっちゃ暴力的で怖いんだよ……」


 そんなことを言ってるとドアからドンドンと叩く音がした。


「おーいツクモ! さっきから叫んだりうるさいんだけど! 誰かいるの?」


 暴力的なノック、そしてこの声……間違いない、隣の部屋の暴力マンガ家女、東条彩夏


「開けるわよー!」


「ちょっ待って!!!」


 俺は最後の力を振り絞って止めた。


「早くお前ら隠れろ! こんなの見つかったらお縄に頂戴されるぞ!! 俺が!!」


 そんなことをしてる間にも東条の強めのドアノックは止まらない。


「あんた友達いないんだから……もしかして独り言?」


 若干引き気味になりながら自己完結した。


「いや、友達いるから! 独り言じゃないから!」


「じゃあ誰かいるの? 名倉?」


 名倉とはアパート住民の俺の親友の名倉幸四郎なんだがそれは後ほど紹介するとして、ここでコウシロウの名前を使えばこのとんでもない状況を回避できるかもしれない。


「ああ! そうなんだ! いまコウシロウ裸だから、絶対開けるなよ!」


 ごめんコウシロウ、今度アイスおごるから許して。


「そう……」


 おお、今回は回避できそうだ。


「じゃあ、私が外に干してたなくなった洗濯物もろもろについて説明して……くれる?」


「……」


「ばれてたぁぁぁ!!」


 まずいまずい! こんな美少女三人に隣の住民の女子高生の服を着させているのがばれたら逮捕は免れない……


「早く開けろや糞度変態野郎!」


 暴力女東条はドアをぶち破り部屋に入ってきた。


「やばいいいいい! このままじゃ殺されるぞ!」


 俺は何かできることも無くついに奇行に走り出した。


「おいフオリ! せめてそのセーラー服脱げ!」


 そういいながら俺はフオリが着ているセーラー服のスカートを引っ張って脱がそうとした。

「や、やめるのじゃ! この変態! 狼!」


 フオリは顔を真っ赤にしながら俺の引っ張る手を離そうとする。


「何叫んでも無駄だぞ、ツクモ」


 真っ黒なオーラをまとって来た東条がついにリビングに一歩一歩おぞましい音を立てながらある気ついに到着する。


「さあてツクモ、コウシロウ……どう落とし前くれるのかしら?」


 その瞬間、はたから見れば女子高生のスカートを脱がせようとしている俺と東条の目が合う。


 一瞬びっくりした顔はしたが、直ぐについにやったか……という顔をし蹴りの準備。


 俺はすべてを悟り、逃げるのではなくどう蹴りのダメージを軽減するかの体制に入る。


「何しとんだ変態ツクモー!」


 俺はみぞおちに蹴りを思いっきりくらいもうろうとする意識の中東条がケータイをかけようとしている東条が見えた。


 おそらくポリスメンに連絡しようとしているのだろう。


 それを全力で止める三人の寝具達を見ながら俺の意識は遠くなっていった。






 ダメだこりゃ

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