7ー2 最後の七不思議、とは?

神崎さんと元開かずの教室に入る

ドアは外されたままで中も掃除された気配はない

俺「それで、最後の七不思議って」

蓮「知れば不幸になる、それでも?」

俺「それでも、俺は調べるよ」

蓮「そう、それなら話すしかないみたいね」

俺「神崎さんは最後の七不思議が何か知ってるの?」

蓮「知ってるわ。最後の七不思議……それは、人間が知ると現れるヤツなの」

俺「やつ?」

蓮「魔の者、所謂悪魔とか悪霊みたいなやつよ」

俺「へぇー、そいつを知ると不幸になるのか」

蓮「正確にはそいつが奪いにくるの。そいつは人間の幸福を喰らうから」

俺「幸福を喰らうバケモノか」

神崎さんが少しだけ悲しみの表情を浮かべる

蓮「そう、バケモノよ。そいつの名前は……」

??「おおーっと、それ以上は喋りすぎになるゼ!世界一の嫌われモノさんよー」

俺「誰だ!?」

辺りを見回すが誰もいない?

蓮「やつよ、盗み聞きなんてしてないで早く出てきなさいよ」

??「オイオイ、オレっちを召喚したのはソッチの人間だロォ?嫌われモノの言う事なんて聞く必要ないよナァ?」

俺「俺が召喚した?」

??「そーだゼ!お前がそれが召喚の方法なのサ!」

俺「……魔の者か、実は超が付くほどの低級悪魔なんだろ?姿を現さないのが、その証拠だ」

蓮「挑発しちゃダメ!」

突如見えない拳で腹を殴られて壁に叩きつけられる

俺「グホッ……」

透明のクセにパンチ力あるじゃねーか

??「ハイ!死んダー!さーてと、美味そうな人間探しに行くカァ」

蓮「死んだ……」

俺「いや、生きてるよ!!勝手に殺すな!」

超痛かったけどな!

??「ほう、今ので死なないとは人間にしては頑丈ダナ!」

俺「そりゃどーも。それで姿は現せないのか?」

俺の挑発にもう一回殴りかかろうとするであろう、魔の者に対して反応したのは

蓮「やめなさい、幸福が食べれなくなるわよ」

神崎さんだった!

??「フフフ、ハーハッハッハッ!お前さんが人間を庇うノカ!これは傑作!面白いモノが見れた!今日のところは見逃してやろう、せいぜい今の内に幸福を噛み締めておケ!少年!」

元々どこにいるか分からないから去ったのかどうかも分からない

神崎さんが警戒を解いたから、多分いなくなったんだろうな

蓮「なんであんな事言ったの!」

俺「だってさ、神崎さんのこと悪く言ったから」

蓮「そんな事で……一歩間違えたら死んでたのよ」

俺「まぁ、なんとかなるかなって」

蓮「やつは召喚した人間の幸福を食べるまで消えないし、諦める事もないわ」

俺「なら、また合えるな。仕返ししないとな!」

蓮「またいつ襲われるか分からないのよ?」

俺「大丈夫だって!」

蓮「ごめんなさい」

俺「なんで神崎さんが謝るの?」

蓮「ヤツを召喚する為に貴方を利用したの」

俺「そーいえば、神崎さんって何者?ヤツの事知ってたし」

蓮「実は私は人間じゃないの」

俺「そーなんだ」

蓮「え?驚かないの?」

俺「まぁ、そーだろーなって」

蓮「え?どういう事?」

俺「俺の家って、退魔やお祓いなんかやってるんだよね。だからなんとなーく神崎さんから変わった気配は感じてて」

(5−3の呪殺系妹のあたりで紹介したよね?)

蓮「私を祓うために近付いたの?」

俺「違う違う!!神崎さんの事好きだから!」

蓮「なんで、私なの」

俺「好きになる理由なんて必要?」

蓮「バカなの?」

俺「かもね。それより神崎さんは何者なの?」

蓮「はぁ……、それじゃ改めて自己紹介します。私は簒奪の悪魔」

俺「さんだつ?」

蓮「奪うって事よ、バカね」

俺「なるほど」

蓮「そして私が奪うのは、寿命なの」

俺「寿命?」

蓮「分からないの?」

俺「寿命は分かるけど、どーやって奪うのかなって」

蓮「私が触れたモノは寿命が無くなるの。物なら壊れて、生き物なら死ぬの」

俺「あれ?でも、カバンとか壊れてないよね?」

蓮「普段は自分で封印してるのよ、生活するのに不便だから」

俺「そんな事もできるんだ、凄いね」

蓮「こう見えて長生きなのよ、私」

え?長生き?

俺「えっと、何歳くらいなの?」

蓮「女子に年齢聞くなんて、失礼だと思わないの?」

俺「あ、そっか。ごめん」

蓮「まぁ、実際は覚えてないんだけど」

覚えてないんかーい!

俺「それで、何で神崎さんはヤツを召喚したかったの?」

蓮「それは……今は言えないわ。とにかく、私はヤツと話があるの。巧く交渉して貴方へ被害をかけないようにするから、大人しく待ってて」

手を握ってお願いされる

俺「了解であります!」

蓮「それじゃ、今日はもう帰りなさい」

俺「はーい。何かあったら言ってほしいな、協力は惜しまないよ」

蓮「ありがと」

俺はそのまま帰ることにした

今はアイツの対策を考える時間が必要だからな

見えない悪霊や悪魔の祓い方なんかを自宅の書庫で調べなくちゃならない

多分妹が手伝ってくれるだろうからそんな苦労せずに判るはず……


神崎さんは無事に帰れるよな……ちょっとだけ心配だ





自宅に帰り、その足で書庫に向かう


えーっと、どの本だろ?

全っ然分かんない……

参ったなぁ

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